琴桜、豊昇龍、隆の勝が1敗死守 優勝争いは〝柏ダービー〟に/九州場所
大相撲九州場所11日目(20日、福岡国際センター)大関の琴桜(27)は小結若元春(31)を押し出し、豊昇龍(25)は関脇大栄翔(31)を押し出して、ともに1敗の首位を守った。平幕隆の勝(30)が新大関大の里(24)を押し出して1敗を堅持した。大の里は2連敗で4敗目。琴桜と豊昇龍、隆の勝の3人を若隆景(29)ら平幕5人が2差で追う。 今場所の「役者」が次々に姿を見せる。最後の3番。1敗力士が勝ち名乗りを受けて、さっそうと花道を引き揚げた。琴桜は若元春に隙を与えず、隆の勝は大の里を一方的に攻め立てた。結びでは豊昇龍が大栄翔を力強く受け止めた。いずれも、はかったように決まり手は「押し出し」だ。 「右を差されると一気にもっていかれる。右だけ差されないよう、左へずれた」 立ち合い。まっすぐ当たった隆の勝が、すぐさま左へ体を開いて強烈な左おっつけ。右喉輪で顎を突き上げると、新大関の腰が浮き上がった。隆の勝と琴桜は千葉・柏市にある相撲道場「柏相撲少年団」に所属していた。隆の勝は小3から、琴桜は幼稚園から小6年まで通い、同じ稽古場で基礎を学び、汗を流した間柄。隆の勝が3学年先輩にあたる。 豊昇龍は日体大柏高(当時は柏日体高)にレスリング選手としてスカウトされ、日本へ留学。柏市を「第二の故郷」と呼ぶ。くしくも「柏市」に縁の深い3人がそろって首位に立っているのだ。同じ大学、高校の出身力士が優勝を争うことは珍しくないが、幕内で3人もの力士がこうした一地域をキーワードに賜杯を争うのは珍しい。 柏市相撲連盟理事長で、親元を離れた子供たちと寮生活をしながら少年団で指導する永井明慶氏(42)は豊昇龍とも親しく「歴史的な優勝争いを見させてもらっている。夢物語のよう。3人ともけがをしないように」。琴桜は3人の並走に「変わらず、やれることをしっかりやって頑張る」。一歩も引かない。一歩も引けない。〝柏ダービー〟が熱い。(奥村展也)