西天満「もうあかんやめます」セール靴店の閉店理由とは
西天満「もうあかんやめます」セール靴店の閉店理由とは THEPAGE大阪
「もうあかん やめます!」──。そんなキャッチコピーで人気を呼んだ「店じまい売りつくし 大阪一安いとうわさの靴店」の「靴のオットー」(大阪市北区西天満)がついに閉店するとネットやテレビなどで話題となっている。メディアでもたびたび取り上げられ大阪ではすっかり有名店だが、一方で「店じまい」と宣伝しておきながら営業を続けるというユニーク商法を展開し、それは大阪人に“シャレ”として受け入れられてきた。だから「また復活するのでは?」と思い、それを確かめ足を運んだところ「20日に閉店します。今回はほんまです」と同店の応援隊長は語り、その理由詳細に明かしてくれた。
閉店の理由は店主が体調を崩したことなど
店舗は大阪の西天満交差点の角にあり、床面積30平方メートル足らずの小さな店だが、オープンして39年になった。30年ほど前からユニークなキャッチコピーを出し最近は不況の荒波にも負けず、しぶとく生き残っていた。 だが、とうとう姿を消す。閉店の理由は建物の老朽化と店主の竹部浅夫さん(74)が体調を崩し、店頭に立つのが難しくなったためだという。 これまでキャッチコピーだけでなく、格安販売と靴底の厚みで身長が高く見えるシークレットシューズなどで人気だったが、不況の影響もあってか、近年は経営が上向かず。 さらに竹部さんは、26年冬頃から体調を崩し、昨年11月末、ついに閉店を決意したという。そんな折、このままひっそり姿を消したらあかん、ということで、同12月から知人ら有志が「オットー応援隊」を結成し、店番を買って出ている。
たぶん、建物は50年は超えてると思います
応援隊隊長の小山秀司さん(64)は、こう話す。「昨年12月7日から応援隊を始めました。インターネットでも話題になっているみたいやし、テレビの取材とかもあって靴が売れてます。でも、20日に閉店します。今回はほんまです。すでに感謝の気持ちということで餞別も頂いてますので」 さらに続けて「(最終日までに)在庫を全部売らないとといけません。当初、在庫は1400足くらいあったんです。ところが、2月初め頃に200足くらいになって、新たに在庫を入れました。お客さんに来て頂いて、靴がなかったらシャレになりませんから。まだ5~600足ありますよ」と話した。 閉店の理由については、「竹部さんの身体のこともあるし、場所が借り物なので、建物が古いということもある。地震が来たらつぶれますから。たぶん、建物は50年は超えてると思います」とのことだった。 また、『もうあかん やめます』という手作りの漫画冊子を記念で出し、餞別も受け付けている。冊子を読むと、竹部さんは漫画のなかでこうつぶやいている。 「ワシは閉店したくない。しかし、足が痛い。腰が痛い。休んでばかりだと支払いがしんどいわ。ほんまにしんどいわ」「もうあかん やめます。」は不滅の商魂の言霊です!とのメッセージも…。
最終日には閉店後にセレモニーをします
靴を見ていた60代の男性に話を聞くと「ここはよく知ってます。まあ、大阪ではけっこうあるパターンやけどね。今日は靴を買いにきました。閉まるのは、やはり寂しいですね」とのこと。商品は定価の5割~7割引。まだ6000円の商品がたくさんあり、スニーカーなど2000円のものや500円の激安品もある。 店のオープンは午後1時から同8時まで。最後の20日は同3時まで。「最終日には閉店後にセレモニーをします」という。残念だが、この愛された名物店は本当に消えることとなる。 (文責/フリーライター・北代靖典)