バンダイナムコ、赤字から復活→売上高1兆円を突破した老舗おもちゃメーカーの「すごい戦略」
VRIO分析の4つの要素にバンダイナムコのケースを当てはめてみましょう。 このように、バンダイナムコは長い時間をかけて、体制を整え、コンテンツを育み、ファンとの関係を築いてきたのです。それらは一朝一夕に作り上げられるものではなく、長年一貫した方針を貫き、模倣困難性を構築していることが分かります。「IP軸戦略」は、他社との差別化ではなく、自社の保有資源の強みに着目した戦略なのです。 ● 進化し続けるコンテンツ戦略 激動の時代こそ「内部資源」の活用が鍵 変化の激しい状況でも、他社の財産(他社IP)を利用しつつ、自社の強みを活かして進化を遂げてきたバンダイナムコは今、さらに前へ進もうとしています。 その一つが、今年12月5~9日に開催された「ガンダムメタバースプロジェクト 第3回期間限定オープン」です。「ガンダムメタバースプロジェクト」は、2022年の中期計画で150億円を投じるとした「IPメタバース」の最初の施策で、訪れた人は、アニメの舞台である「宇宙コロニー」を模したメタバース空間で、カスタマイズしたアバターを動かしてゲームや買い物をしたり、3Dスキャンした自作のガンプラを操作したりと、デジタル空間でIPとの新たな出会いを体験することができます。 長い時間をかけて培ってきた競争優位性に、さらに磨きをかけるバンダイナムコ。社名にもなった「萬代不易(ばんだいふえき)」の言葉通り、いつまでも変わらず人々の心を満たす商品を作り続けようとする姿勢には、業界・業種を超えて学ぶところが多くあります。混沌としている時代にこそ、内部資源に目を向けてみてはいかがでしょうか。
松村真美子