女性管理職の平均割合、初の1割超え~じわり前進も「女性の昇進意欲」などに課題~
女性活躍推進策、「公平な評価」が60%超でトップ。中小企業が行う対策は停滞感が漂う
女性の活躍推進のために自社で行っていることについて尋ねたところ、「性別に関わらず成果で評価」が61.2%でトップとなった(複数回答、以下同)。「性別に関わらず配置・配属」(50.6%)が続き、男女平等に関わる項目が上位に並んだ。以下、「女性の育児・介護休業の取り組み促進」(32.8%)といった、女性が働きやすい環境づくりに関する対応策、「就業時間の柔軟化」(27.5%)および「時短勤務の対応」(27.1%)といった男女問わず働き手の家庭と仕事の両立への支援となる取り組みが続いた。 規模別では、「女性の育児・介護休業の取り組み促進」や「男性の育児・介護休業の推進」で大企業が中小企業を20ポイント超上回り、働き方に関する対策に規模間で大きな格差がみられた。
課題や要因、「家庭と仕事の両立のしづらさ」が唯一50%超。「成果で評価」のみ、中小企業が上回る
日本において女性管理職の割合が上昇しない課題や要因について尋ねたところ、「女性従業員の家庭と仕事の両立がしにくい」が54.4%でトップとなり、唯一50%を超えた(複数回答、以下同)。次いで、「日本社会の性別役割分担意識の存在」(38.5%)、「女性従業員が昇進を望まない」(36.2%)が続いた。 企業からは、「女性の妊娠や育休などにより、働けない期間が生まれ、キャリアや経験年数が不足してしまう」(医療・福祉・保健衛生)や「徐々に女性の意識改革は進んでいるが、昇進にともなう重責を好まない傾向にある」(建設)といった声が多数あがった。
企業が女性活躍の推進に取り組むと同時に、政府は女性の管理職に対する意識改革の推進が重要
本調査によると、女性管理職割合は平均10.9%と過去最高を更新し、調査開始以来初めて10%を超えた。政府目標である「女性管理職30%」に該当する企業の割合も過去最高である11.4%となった。依然として政府が目指す目標に対して開きはあるが、女性管理職の割合の上昇幅は過去最大となり、じわり前進していることが分かった。 女性の活躍推進のために自社で行っていることについては、男女平等に関する項目の「性別に関わらず成果で評価」が60%を超えていた。他にも、女性にとって働きやすい環境づくりに関連する項目や就業時間の柔軟化など、男女ともに働きやすくなる対応を行う項目が上位にランクインした。 女性管理職の割合が全国的に上昇しない要因や課題については、「女性従業員の家庭と仕事の両立がしにくい」が唯一50%を超えた。次いで、「日本社会の性別役割分担意識の存在」「女性従業員が昇進を望まない」「候補者がいない」が30%台で続いた。 生産年齢人口の減少に拍車がかかり、人手不足が深刻化することで、女性の潜在的な労働力を掘り起こし、女性活躍の推進をする重要性が年々高まっている。企業は、女性活躍の推進に取り組むことが重要である。同時に政府には、女性への昇進や求める役割に対する働きかけを積極的に行い、女性自身の意識改革を進めることが求められる。また、性別を問わない育児の分担など、女性が安心して社会進出できる環境づくりも不可欠だろう。 調査概要 調査対象企業:2万7191社 有効回答企業:1万1282社(回答率41.5%) 調査期間:2024年7月18日~7月31日 調査方法:インターネット調査