川のせきが大雨で4たび被災 復旧目前で損壊また損壊「いつになったら完成するのか」 流れが90度に曲がった先にある工事の難所ではあるが… 広島市
広島市安佐北区白木町秋山の三篠川にある農業用水を引くためのせきが2023年5月以降、大雨で4度にわたり被災し、市が復旧工事に手を焼いている。水量が多く流れも速い工事の「難所」で完成間近に半壊する事態が重なった。市は仕切り直しの工事を25年の出水期前に終えたい考えで、住民からは着実な施工を求める声が上がる。 【動画】大雨で損壊繰り返す広島市の三篠川 「青頭首工」と呼ばれる約30メートルのせきで、北側からの川の流れが西方向へほぼ90度に曲がった先にある。大雨の影響で南側の土手がえぐられ、隙間から水が流れる。付近にはコンクリート材の残骸や倒木が散らばる。同区農林課は「施工中の被災を繰り返し、施設の機能を十分に発揮できていない」と説明する。 23年5月上旬の雨でせきの南側約10メートルと、幅約2メートルの水路が約30メートルにわたり損壊したのが始まり。市は、国の補助を受けて同11月に約8千万円の災害復旧工事を地元業者に発注。事業費ベースで9割ほど進んだが、翌24年2月下旬と3月下旬の雨で水路を造る護岸ブロックなどが流された。 5月に工事を再開。6~10月の出水期の中断を経て再び9割まで復旧が進んだ11月上旬、付近で24時間雨量が最大199ミリを記録した雨で水路などがまた壊された。市は改めて国の補助を得て約5千万円の工事を計画し、年明けに着手する。 区農林課によると、2、3月の雨の際には、工事中のせきの損傷を防ぐため上流側に並べた大型の土のうを越えて水が押し寄せた。11月の雨では出水期にいったん撤去した土のうを再び設置する前に被害に遭った。農業用の水路は使えないままで田植え前などは市の負担でポンプで水をくみ上げて対応した。 近くに住む農業男性(78)は「いつになったら完成するのか」と冷ややか。別の農業男性(76)も「税金の使い方としてどうか」といぶかる。 区農林課は「想定外の時期に大雨被害にたびたび遭う事態となり、心配をおかけしている。土のうを高く積むなど工事箇所に越水しない対策を業者側と検討し、完成を急ぎたい」としている。
中国新聞社