政策活動費廃止へ 裏金相当額7億円寄付も検討 首相「年内に決着」
石破茂首相は、政党から政治家個人に支出され、使途が公開されてこなかった「政策活動費」について廃止する方針を固めた。複数の政権幹部が明らかにした。与野党で協議し、年内に政治資金規正法の再改正などの方向性を決める。一方、自民党は裏金問題に関する「けじめ」として、収支報告書の不記載相当額約7億円を党から国庫などに寄付する検討に入った。 【写真で見る】注目の「裏金議員」の当落どうなった? 首相は11日夜、記者会見で、議員に月100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開と残金の国庫返納について「早急に国民に結論を示す」と表明。政策活動費についても廃止に向けて「各党各会派で議論いただき、早期に結論を得るべく尽力する」と言及した。政治資金を監視する第三者機関の設置も含め「自民党案を取りまとめ、年内にも必要な法制上の措置を可能とするべく努力していく」と語った。裏金問題に関与した議員に国会の政治倫理審査会に出席するよう求める考えも示した。 自民は年間10億円規模の政策活動費を党幹部らに支出しているが、使途が一切公開されず「ブラックボックス」と批判されてきた。6月成立の改正政治資金規正法では、領収書を10年後に公開することなどが付則に盛り込まれたが、改革が不十分との意見が根強かった。 9月の自民総裁選では多くの候補が政策活動費の廃止を訴えたが、衆院選の自民公約は「将来的な廃止も念頭」とあいまいな表現にとどまり、公明党や野党各党と比べて改革に後ろ向きな印象が残った。 衆院選での大敗を受け、党内外から「けじめ」を求める声が強まり、党政治改革本部(渡海紀三朗本部長)で具体案を検討。政権幹部は「廃止に向けた具体案を作成中だ」と明かした。12日に改革本部会合を開き、対応を協議する。 裏金問題については、党が不記載相当額を国庫や被災地に寄付することを検討。関係した議員らに返金を求めることが法的に可能かなどを幹部間で協議する。年内にも手続きを終わらせたい考えだ。 自民が2月実施した調査では、裏金問題でパーティー券収入のキックバック(還流)や中抜きに関する不記載・誤記載があったのは85人で、総額5億7949万円に上った。党幹部によると、起訴された元議員らの分も含めると不記載などの総額は約7億円に上るという。【野間口陽、飼手勇介】