本格雨季前に気象庁は「線状降水帯」情報の新運用開始…2年連続堤防決壊「敷地川」流域住民は(静岡・磐田市)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
本格的な雨の季節を前に、気象庁は災害の危険性が高まる「線状降水帯」に関する情報の新たな運用を始めました。一方、2年続けて堤防が決壊した静岡・磐田市の敷地川では、住民から“早急な対応”を求める声が上がっています。 先週、前線を伴った低気圧の影響で広い範囲で大雨となった静岡県内。降り始めからの総雨量は多いところで200ミリを超え気象庁は「静岡県に線状降水帯が発生するおそれがある」と発表しました。その“線状降水帯”については5月27日から新たな発表方法に…。 これまでは全国を11のブロックに分けた「地方単位」でしたが、気象庁は、より範囲を絞り込んだ「県単位」での発表に変更しました。 近年、線状降水帯の影響で記録的な大雨となるケースも多い中、2024年も雨の季節を迎えて不安を感じている住民がいます。 (地元の自治会長 伊藤 弘一さん) 「あそこが現場です。決壊した箇所は土砂で進入路ができている」 磐田市を流れる敷地川。 2023年6月2日。県内は「線状降水帯」が発生し記録的な大雨に…敷地川は2022年の台風15号とともに2年続けて堤防の“同じ場所”が決壊し、周辺の住宅が浸水する被害に見舞われました。中には自宅が2回浸水した住民もいました。 (自宅が2回浸水した住民) 「これが水位。ここまで水がきた。つかった」 1度目の浸水のあとに買い換えたばかりの電化製品も再び水に浸かりました。 (自宅が2回浸水した住民) 「気持ち的にはがっくりもいいところ。あまり悲観しても仕方ない。できるだけポジティブに生活するように心掛けている」 大雨が降った先週、住民のもとをたずねると…。 (自宅が2回浸水した住民) 「かなり心配。杭を打ったり鉄板を入れたり、工事中で完成していない。安心できない」「最近は特に想定外が多い。昔と違う。心配も警戒もしている。自主避難も早めにしないといけないと思っている」 1度目の決壊のときに自治会長を務めていた佐野健夫さんです。川の近くにある自宅の敷地内まで水が流れ込んだ“恐怖”が頭から離れないといいます。 (地元の前自治会長 佐野 健夫さん) 「(台風)15号のときは明らかに越水したので、逃げるか2階に避難するか」「あまりにもひどい惨状だったので、衝撃的だった」 県は1度目の決壊をうけて“仮の堤防”を設置しましたが去年の大雨で再び決壊。現在の自治会長・伊藤弘一さんは「眠れないと話す住民もいる」と打ち明けます。 (地元の自治会長 伊藤 弘一さん) 「被災した人たちは、また起きるのではという思いがあるので、早く枕を高くして寝たいという思いを持っている」「2度あると3度、4度あるのではという心配が拭えない」 2度の決壊を受けて、敷地川を管理する県と流域の磐田市、袋井市でつくる協議会は、先週、新たな水害対策プランの原案をまとめました。2022年の台風15号と同じ規模の雨が降っても氾濫しないよう河川を改修することや、水害リスクを踏まえた避難計画を作成することなどが盛り込まれています。 (県袋井土木事務所 榊原 正彦 所長) 「このプランは関係者が連携して作り上げるもの。行政が中心に作ったプランを地元におろして、地元の意見を反映して、より良いものにしていくことを考えている」 一方、県袋井土木事務所によりますと、決壊現場周辺の復旧工事が完了するのは2025年12月になる見通しです。周辺住民からは“早急な対応”を求める声が上がっています。 (地元の前自治会長 佐野 健夫さん) 「いつ避難しなければいけない状況になるか、心構えもしながら、工事もなるべく早く進めていただきたい」 (地元の自治会長 伊藤 弘一さん) 「避難しなくてもいいようにしてもらう、それが安心なので、(工事を)早くやってほしいという思い」 県袋井土木事務所は「工事の進捗状況について、今後も住民に対して丁寧に説明していきたい」と話しています。