『極悪女王』剛力彩芽「撮影後、ライオネス飛鳥さんからは『彩芽ちゃんにやってもらってよかった』と」
昭和期の全日本女子プロレス(全女)を舞台にしたNetflixシリーズ『極悪女王』が大反響を呼んでいる。作品の中でクラッシュ・ギャルズのライオネス飛鳥を演じた剛力彩芽にも絶賛の声が寄せられているが、“1日3000キロカロリー摂取、体重10kg増”に取り組むなど舞台裏では並々ならぶ苦労があったようだ。本家からも「すごく私に似ていたよ」と言われた迫真の演技の最深部に迫る──。(前中後編の中編) 【写真】運動神経も話題になった『極悪女王』剛力彩芽&撮りおろしカット【16点】 ーー撮影まで半年の準備期間と聞いて非常に長く感じましたが、そこまで本格的にプロレスを学ぼうとしたら、逆に半年じゃ足りないかもしれませんね。 剛力 その通りなんです。私以外の出演者も含めて、本当にギリギリでした。ただひとつ言えるのは、今回レスラー役をやった全員が負けず嫌いだったんですよ。練習ではできるようになるまでやり続けるし、絶対に「できません」って口にしない。なにかの技を1人ができるようになると、周りのみんなも拍手しながら「すごい!」って喜ぶような雰囲気。それこそ同じ団体にいるようなチーム感でした。こんな一体感のある現場は珍しいと思います。 ーー会場での試合シーンは観客も入れていました。最低限のカメラテストなどはあるにせよ、何テイクも重ねるわけにいかないですよね。そのあたりは流れで闘ったんですか? 剛力 もちろん事前にカメラ用のアングルチェックはするんですけど、そこは選手の方に出ていただいたんです。というのもテストの段階で私たちが動いちゃうと、本番で100%の力が出せなくなるので。プロレスの試合って勢いが大事じゃないですか。そういう意味では、たしかに本番一発で失敗が許されない緊張感はありました。 ーープロレスって観るのとやるのでは大違いで、たとえばロープも実際は中にワイヤーが張られているから、背中が当たるとすごく痛いんですよね。 剛力 それは私も驚きました! 試合を観ているとロープがビヨーンと伸びるから、「なんかトランポリンみたいで楽しそうだな」とか思っていたんですけど、とんでもないなと(笑)。あと、ロープワークは歩幅を合わせるのにすごく手間取りましたね。後ろをまったく見ない状態のまま背中で受けるから、本当に怖いんですよ。当然、めちゃくちゃ痛いですし。だけど、あるとき急に背中の痛みがなくなったんです。どうも肘の使い方にポイントがあったみたいで。そうしたら選手のみなさんも「いや~、ロープワークがすごくカッコよくなりましたよ!」とか言ってくださって……。あれはうれしかったなぁ。 ーーでもボディスラムとか受けたら、演技とはいうものの実際に痛いわけですよね。 剛力 そうなんですよ! もちろん受け身は絶対に取ったほうがいいんですけど、痛みが完全になくなるわけじゃないですから。痛みが分散される程度の話であって。だから身体中にアザができたりしました。 ーー剛力さんは役者として様々なジャンルに挑戦していますが、これまでの作品と『極悪女王』がもっとも違った点は何ですか? 剛力 やっぱり準備期間での出来事は、ものすごく印象深かったです。もちろん大抵の作品では数カ月程度の準備期間を用意してくださるんですけど、今回は実際にモデルの方がいるお話ですし、プロレスという特殊な世界でもあるので、自分の役に向かって作り込む体制が整っているのは本当にありがたかったです。