とにかく窪田正孝の演技が上手すぎる…思わず唸ったドラマ前半のベストシーンとは? NHKドラマ『宙わたる教室』考察レビュー
現在放送中のNHKドラマ『宙わたる教室』。窪田正孝演じる主人公・藤竹叶が東新宿高校定時制に務める理科教師として生徒たちを導く。本作の魅力を最大限に引き出している窪田の演技について語りたい。(文・望月悠木)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】窪田正孝の演技に惚れる…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『宙わたる教室』劇中カット一覧
年上の生徒相手でも態度は変えない…。 難しい役どころを乗りこなす窪田正孝の魅力に迫る
『宙わたる教室』は、主人公・藤竹とさまざまな背景を持つ生徒たちとの交流を通して、学ぶことの楽しさ、対話の必要性などを示す学園ドラマになっている。 登場する生徒は血の気の多い不良学生・柳田岳人(小林虎之介)、若い頃に高校に通えなかった高齢男性・長嶺省造(イッセー尾形)、日本とフィリピンのミックスの中年女性・越川アンジェラ(ガウ)、起立性調節障害を抱えて保健室登校を続けている16歳・名取佳純(伊東蒼)など、いろいろな意味で幅広い。 例外はあれど、多くの学園ドラマでは、全日制の学校を舞台としている。その場合、教師はもちろん生徒よりも年上のため、年長者として生徒を導く“年上感”を演出するのがセオリーだろう。しかし、本作の舞台は定時制であり、教師よりも年上の生徒も珍しくはなく、また各々何かしらの事情を抱えて通学している場合も多い。 そんな環境下で藤竹が変に年上感を出してしまえば、「年上の長嶺にその態度はどうなのか?」「そんな接し方では佳純は心を開かないのでは?」といったノイズになりかねないのだが、藤竹はそのようなある種の押しつけがましさを全く感じさせない。ただ教師として生徒に寄り添い、道を指し示している。 第2話では、勉強についていけなくなったアンジェラが、全日制の生徒から盗難の疑いをかけられたことに逆上し、相手に暴行をはたらこうとしたクラスメイト・池本マリ(山﨑七海)を庇って退学しようとする。そんなアンジェラに、藤竹は「今回のこと、投げ出す口実にしてませんか?」「越川さん、夢に優劣なんかありませんよ」と諭す。 その言葉に説教臭さはない。それでも、間違った方向に進もうとする生徒に心からぶつかる教師そのものだった。 違和感を与えさせず、定時制高校の教師という難しい役を乗りこなす窪田の演技力には驚きしかない。