愛知の他ジムから風評被害苦情も…JBCがプロボクシング新型コロナ感染ボクサーの実名とジム名を公表か匿名かでジレンマ
NPB(日本野球機構)は、PCR検査を受ける段階で実名を公表することを事前の申し合わせで決めていた。プロ選手としての公益性を重視し、二次感染、三次感染の予防と共に、世の中への啓蒙の意味も込めて、阪神から3人の感染者が出る前に決定。結果、陰性だったが、濃厚接触者としてPCR検査を受けた選手名も公表された。 一方、Jリーグは人権保護を理由に公表は義務化しなかった。実際は感染者は公表されているが、これはクラブと本人の判断。一方、感染者を出した大相撲も、部屋名と力士名を「個人情報を優先して」と非公表にしていた。確かに感染者の公表問題はデリケートな問題で正解はない。 だが、その方針は、感染者を出す前に事前に統括団体で申し合わせて決めておかねばならない問題である。NPBでは、濃厚接触者名の公表さえ議論されたほど。 実は、JPBAは、感染者が出た場合には、公表を前提とする方針だったが、周知されていなかったという。本来ならば、「感染者が出れば公表しますよ。そうならないように予防、自粛を徹底して下さい」と徹底しておくべきだったが、文書化されていなかったため、今回は、ジム側が公表することに難色を示したため、その意図を汲み、非公表となった。 感染者が出た場合の対応についてのリスク管理ができていなかったと批判されても仕方がないだろう。 現在、感染者へのヒアリングができないため、いつ、どんな形で症状が出て、ジムへの出入りは、いつまで続けたのか、などの詳細が不明だというが、周囲の関係者から、早急に事実関係を詳細に聞き取り、経緯を明らかにしなければ、今後の予防策につながらない。 また現在は、”3つの密”を避け、予防対策を取った上でのプロの練習は許可されていて、「緊急事態宣言」発令後も、完全休止にするのか、時間差で練習させるのかなども、ジムによってバラバラ。 この日の協議会では、「感染者が出たのにプロの練習を続けていいのか」が、議論されたというが、結論は出なかった。 だが、ジム内で感染が発生した可能性が高いという事実は、重く受け止めるべきだろう。 この日、安河内事務局長は「当該のジムは(感染予防に)注意していたが、感染者を出したことを深刻に受け止めなければならない。真摯に反省し、もう一度、予防のガイドラインを徹底する」とコメントしている。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)