クルスク州でロシア軍が反撃強化、北朝鮮部隊も支援か トランプ「休戦案」の影響も
ウクライナ軍の逆侵攻先であるロシア西部クルスク州で7日、北朝鮮部隊の支援を受けているとみられるロシア海軍歩兵部隊がウクライナ側の陣地に突撃を仕掛けた。ロシア側は大きな損害を出した。だが、ロシア軍によるこうした突撃はやみそうにない。 米国の大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ前大統領が勝利したことで、ロシアがウクライナに対して起こした戦争を取り巻く政治情勢は流動的になっている。 トランプは、来年1月の大統領就任前にウクライナでの戦争を終わらせると宣言している。ウォールストリート・ジャーナル紙が伝えた概要によると、そのプランはロシアにとって、クルスク州でたとえ損害がかさんでも、できる限り力を尽くして、できるだけ速く攻撃を重ねるインセンティブが働くものになっている。 というのも、トランプの提案のひとつは、ロシアとウクライナが現在の戦線を軍事境界線として休戦で合意するというものだからだ。ロシアが全面侵攻を始めて2年8カ月半たつなか、現在の戦線はウクライナ南部から東部、そして8月にウクライナ軍の強力な軍勢が攻め込んで一部を占領したクルスク州に伸びている。 可能性は非常に低いが、仮に現時点でトランプの休戦案に従うとすれば、ロシアはウクライナの国土のおよそ2割にあたる12万平方km近くの占領地を獲得する一方、自国の国土700平方kmほどをウクライナに明け渡すことになる。 ロシア側にとって一見有利な取引だが、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は気乗りしそうにない。プーチンは以前、ロシア軍にウクライナ軍部隊を10月1日までにクルスク州から掃討するよう命じていたからだ。ロシア軍はこの期限を守れなかった。 クルスク州でウクライナ側が保持する突出部を7日に攻撃したロシア軍部隊は、10月末に前線入りした北朝鮮部隊が随伴しているとみられるロシア海軍第810独立親衛海軍歩兵旅団だけではなかった。しかし、この旅団は最も不運だったとは言えるかもしれない。