クルスク州でロシア軍が反撃強化、北朝鮮部隊も支援か トランプ「休戦案」の影響も
トランプが用意しているとされる休戦案の問題点
クルスク戦線でウクライナ軍部隊を支援しているドローン(無人機)操縦士のKriegsforscher(クリークスフォルシャー)の説明によれば、第810海軍歩兵旅団は最近、新しいBTR-82装甲兵員輸送車を40両も受け取った。クルスク州でウクライナ軍部隊の駆逐に失敗するなかで、これまでに出した損失の一部を補うためだろう。 第810海軍歩兵旅団は7日、BTR-82少なくとも14両を投入して突出部の左翼を攻撃した。Kriegsforscherによると、うち10両が撃破されるか損傷して遺棄された。重量15t強のBTR-82には乗員3人と歩兵7人の計10人が乗り込めるので、第810海軍歩兵旅団は人員を最大で140人失った可能性がある。実際にはおそらく、一部の歩兵や乗員は燃え盛る車両から脱出しただろう。 Kriegsforscherは、突出部に対するロシア軍の突撃はさらに続くと予想しており、とりわけ突出部の左翼と中央部が「最も困難な場所」になるとの見方を示している。 ロシアの政権は、クルスク州の突出部の排除でも自軍の膨大な犠牲をいとわない可能性がある。何千人もの命と引き換えに数百平方kmの土地を取り戻すというのは、ロシアの指導者にとっては見合うのかもしれないが、それはトランプの休戦プランが実施されるという現実的な見通しがある場合に限られるだろう。 しかし、そうした見通しははっきりしない。大きな問題は、トランプはおよそ1300kmの戦線全体に非武装地帯を設けることを求めているとされる一方、それを実施する方法をまったく示していないことだ。 ウクライナのアナリストであるTatarigami(タタリガミ)は、非武装地帯では非武装化に関する合意の「順守を確実にするために、強制力を持つ存在が必要になる」と指摘し、現地に監視団がいなければ合意は「無視されたり、頻繁に違反されたりするおそれがある」と続けている。 そうした理由から、トランプの休戦案は「稚拙」だとTatarigamiは断じている。 ロシア軍と北朝鮮部隊は休戦を見据えてクルスク戦線に人員や装備を投じているのかもしれないが、その休戦自体が実現しない可能性がある。
David Axe