伝統の秋祭り 一宮神社で5年ぶりに再開
秋の訪れとともに、京都府福知山市内の各地で秋祭りの準備が着々と進められている。本宮の日に奉納する踊りや太鼓などの練習が、熱を帯びて行われていて、伝統的な行事を継承するため、地域の人たちが力を合わせている。 牧地区の一宮神社では10月13日午後1時から、5年ぶりに秋祭りが営まれる。本番に向けて、府登録無形民俗文化財に指定されている練り込み太鼓の練習に子どもたちが励んでいる。 一宮神社は創建約800年とされる。祭礼行事は市無形文化財になっていて、大人のみこし巡行などもあるが、練り込み太鼓、鉦たたき、稚児の屋台ひきなど子どもの出番が多く、実行委員長の牧晴喜さん(77)は「豊年満作への感謝はもとより、昔は成人までに亡くなる子もいて、地域で子の健やかな成長を願おうという意味が込められている」と話す。 練り込み太鼓は、子が一列になってそろい打ちを演じる「数打ち」、陣形を変化させながら打つ「まわり打ち」、円陣になって移動しながら打つ「練り込み」の3種の打ち方がある。 今年は、中学1年生から高校1年生までの7人が打ち手を務め、17日から平日の夜に練習を行っており、指導者から太鼓のたたき方や動きを教わっている。計13日間稽古を積んで本番を迎える。 初めて練り込み太鼓に挑戦するという成和中学校3年の芦田誠斗君は「小さいときに見て、かっこいいいと思っていたので、たたけるのはうれしい。本番は失敗できないから、しっかりと練習して楽しみながら笑って終えたい。良い思い出にしたい」と、ばちを握る手に力を込める。
4年間のブランク 苦慮しながら準備
コロナの影響で、ここ4年間は神事のみを行ってきた。「三味線を弾けた人ができなくなったり、個々のつながりが薄くなったりと、このブランクは大きい」と牧実行委員長。細かい習わしなど忘れているところもあり、準備に苦慮しているが、「子どもが主体の 祭りを守っていき、次の世代に継承していけたら幸せです」と話していた。