【イベントレポート】1館から全国に飛び立つ「侍タイムスリッパー」に監督・キャストが感慨「あまりにすごい速度」
映画「侍タイムスリッパー」の全国公開記念舞台挨拶が本日9月14日に東京・新宿ピカデリーで行われ、キャストの山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、庄野崎謙、井上肇、安藤彰則、監督の安田淳一が登壇した。 【画像】「侍タイムスリッパー」全国公開記念舞台挨拶に登壇した山口馬木也 本作は、幕末の京都から現代の時代劇撮影所にタイムスリップした会津藩士・高坂新左衛門の姿を描くチャンバラ活劇。幕末の夜に長州藩士と刃を交えた新左衛門が落雷により気を失い、目を覚ますと現代の時代劇撮影所にいたことから物語が展開していく。彼は磨き上げた剣の腕を頼りに、時代劇の「斬られ役」として生きていくことを決める。 8月17日に東京の池袋シネマ・ロサ1館で封切られたのち、口コミで話題となり拡大上映が決まった本作。新左衛門役の山口は、観客を前に「皆さんの顔を見ると、この映画を愛してくださったのだなあと、自然と涙腺がゆるんでくるんです。たった1館から全国に飛び立って、あまりにすごい速度で困惑していますが、皆さんの愛を糧に『全国公開でも大丈夫だ』とみんなと話していました」と言葉を紡いだ。 風見恭一郎役の冨家も「みんなはしゃいでます。ここまでくるとは夢にも思ってなかった」と笑顔を見せる。そして「撮影しているときには『果たして世に出るのだろうか』と思ったりもしたんですが、監督がお一人で全部やってくださっていた」と振り返ると、安田は「この作品は4月にも追加撮影を行なっていて、本当に完成したのは6月でした」と告白。冨家いわく、安田の監督作はなかなか完成しないことから“サグラダファミリア”と呼ばれているそうで、安田は「東映撮影所の人も『まだやってる』と呆れてました」と照れ笑いを浮かべた。 山本優子役の沙倉は演者のみならず、助監督としても現場に入った。「小道具の刀の管理をしていました。みんなそれぞれ違う刀ですから、間違えないように渡したり、刃を変えたり」と説明する沙倉は、「普段は自分が出演しているシーンしか参加できないですが、今回はスタッフとも全員仲良くなって映画を作れたのが一番うれしかった」と充実した表情に。冨家は「スタッフの人数が少ないからこそチームワークがよかった。学園祭の出し物のように助け合いながら作っていて、“サムタイファミリー”という感じでしたね」と語った。 殺陣のシーンに話が及ぶと、山形彦九郎役の庄野崎は新左衛門との対峙シーンに言及し、「実は途中で撮影中止になったんです」と報告。山口が「一番盛り上がっていたときに、借りている場所の終了時間になってしまったんだよね」と続けると、安田は「前の場所はもう使えないので、続きはキャンプ場で撮りました(笑)」と補足する。加えて山口は、庄野崎が初めて出演した舞台で彼が演じたキャラクターの師匠役を務めたことがあると打ち明け「(久々の共演に)現場ではニヤニヤして。とても感慨深かった」と目線を送ると、庄野崎は「12年越しに相対できました。僕の宝物です」と胸がいっぱいの様子を見せた。 「18歳から東映京都撮影所で斬られ役をやってました」と話すのは、斬られ役俳優・安藤に扮した安藤。「とにかく現場が楽しくて仕方なかった。僕も空いているときは助監督をさせていただきました」とほほえむ。冨家が「脚本の中で一番好きなのが井上さんのセリフ」と告げると、撮影所所長・井上役の井上は「一生懸命がんばっていれば、どこかで誰かが見ていてくれる。ほんまやなあ」と役になりきりセリフを披露した。 最後に安田は、「この作品はタイムスリップを扱っていますが、上映中に声を出して笑ったり、よかったら拍手したりと、僕たちが子供の頃の映画館のような雰囲気になるんです。まるで客席ごとタイムスリップしているようです」と吐露する。さらに「『大ヒット』と言ってもらい、大きな劇場を用意していただいた今、『これから本当にがんばらないといけないな』と覚悟を新たにしています。引き続き応援のほどよろしくお願いいたします」と挨拶し、イベントの幕を引いた。 「侍タイムスリッパー」は全国50館以上の映画館で順次拡大公開中。 ※庄野崎謙の崎は立つ崎(たつさき)が正式表記 (c)2024未来映画社