水原一平容疑者、大谷選手とドジャース、大リーグ、そして家族に謝罪したい…足かせつけ出廷
連邦地裁への出廷で解雇直前の3月20日以来、公の場に姿を見せた元通訳で銀行詐欺容疑で訴追された水原一平容疑者(39)の変わり果てた様子を、安藤宏太記者が傍聴席で「見た」。 【写真】もう見られない?水原一平夫妻、大谷翔平&妻らと記念撮影ショット 午後1時46分。静まり返った法廷に、水原一平容疑者が姿を見せた。白のシャツに黒のスーツ。少しぎこちない歩きかと思ったら、鎖のような足かせがつけられていて驚いた。“水原通訳”を見たのは3月20日の韓国・ソウルでの開幕戦を終え、クラブハウスで大谷の取材対応の通訳をしたのが最後。少しやせ、白くなったような顔には心労が浮き出ていた。 足かせを外され、弁護士とともに法廷に立つと、名前の確認などで、16度「Yes」とうなずきながら答えた。その声は約3週間前まで、いつも大谷の横で聞いていた、おなじみの声だったが、ぼそぼそとして声に力はない。約15分。ギャンブル依存の治療をすること、ギャンブルに手を出さないこと、パスポートを返納すること、大谷や胴元と接触しないこと、許可なくカリフォルニア州の中央地区を離れないことを条件にして、違反した場合は2万5000ドル(約380万円)の保証金を支払うことで保釈された。 日米合わせて100人以上の報道陣がロサンゼルスの連邦地裁に集結。午前中から現地でも生中継されるなど、注目度は高かった。約60人の傍聴席も、日米の報道陣などで一瞬にして満席。入れない人もいるほどだった。大谷の口座から1600万ドル(約24億5000万円)以上を不正に違法スポーツ賭博の胴元に送金したとされ銀行詐欺容疑で訴追された水原容疑者は出廷に先立ち捜査当局に出頭。身柄を一時拘束されていたという。 水原容疑者、フリードマン弁護士の取材対応はなかったが、同弁護士が米メディアに向けた声明の中で「彼(水原容疑者)は大谷選手とドジャース、大リーグ、そして家族に謝罪したいと考えている」と表明した。最大で禁錮30年を科される可能性があるが、司法手続きの早期終結を望んでいることも明らかになり、次回は5月9日(日本時間10日)に罪状認否に臨む。通訳という選手をサポートする役割に徹してきたが、思わぬ形で“主役”となってしまったその姿にむなしさを感じた。(MLB担当) フリードマン弁護士(米メディア向けに声明を発表)「本日、水原氏が自首して初出頭し、政府との合意に従って保釈金を支払って釈放されました。同氏は今後も法的手続きに協力しており、政府との合意に達してこの事件をできるだけ早く解決し、責任を取ることができるよう望んでいる。彼は大谷氏、ドジャース、メジャーリーグベースボール、そして彼の家族に謝罪したいと考えている。法廷で指摘されているように、彼はギャンブルの治療も望んでいます。現時点ではこれ以上のコメントはありませんが、法的手続きが進み次第、水原氏からさらにコメントを提供する予定です」 ◆国際弁護士・湯浅卓氏に日米の裁判の違いについて聞いた。 Q 足かせは米国の裁判では普通につけるのか。 A 米国では1年ほど前に裁判中に逃亡し、逃げ切ってしまった例があってから厳しくなり、現在は足かせをつけることが通常。水原容疑者は、むしろ手錠を外していたというところに配慮が見られる。 Q 保釈金は日本と同様、保釈前に納めるのか。 A 米国でも通常はデポジット形式で納めることが多い。一方、本件では、水原容疑者の財産状況が厳しいということに配慮して、現金をあらかじめ積み立てないでよい、形式的な署名約束による保証金となっている。万が一逃亡などをした場合は即刻払わなくてはいけないが、今のところ現金では支払う必要がない。 Q 5月9日に罪状認否の予定。今後の見通しは。 A 早く決着する可能性がある。司法取引をしたとしても検察側はできるだけ禁錮年数を長くしたいところ。これに対し、年数があまりにも長い場合は弁護側が争う姿勢を見せるべきだが、今回は弁護側も司法取引を焦り、早い決着を目指している印象がある。 Q 禁錮刑となったら即収監か。 A はい。裁判所から即収監になる。 Q 量刑はどうなるか。 A 連邦裁判所のほうでは数年から10年前後の禁錮が予想される。大谷さん側が窃盗でも州法で告発するとなれば、州の裁判も並行して行われる可能性もある。もし州でも有罪となればプラスで3年以内の禁錮が予想される。 ◆水原容疑者の保釈条件 〈1〉電子・対人いずれでもギャンブルをしてはいけない。ギャンブル施設に立ち入らない。ブックメーカーとされる人物に接触しない。 〈2〉ギャンブル依存症の治療プログラムに参加する。 〈3〉どんな形でも被害者(=大谷)や関係者との接触を禁じる 〈4〉パスポート返納 〈5〉許可なくカリフォルニア州中心部を離れない
報知新聞社