マルティネス&田中将大をダブル獲得…大補強敢行の巨人に藤川阪神はひるまず戦え 越後屋のトラ漫遊記
続いて秦新オーナーは「引き続きフロント主導の育成重視の編成方針を堅持した上で、甲子園という本拠地球場の特性を踏まえた投手を中心とした守りの野球で勝つということを徹底し、常勝軍団を目指していきたい」と話しました。
杉山オーナーは2年前のオフ、阪急阪神ホールディングスの角和夫代表取締役会長兼グループCEOが鶴の一声で岡田彰布氏を15年ぶりの阪神監督に復帰させた際、岡田体制を全面支援するために〝阪急側〟から球団オーナーとして送り出された。岡田前監督の退任と同時に大きな役目を終えたということでしょう。秦オーナー就任は、まさに阪神タイガースが阪神の手に戻ってきた…と表現すればいいのでしょうか。
そうした細かな経緯は横に置いておいて、新旧オーナーが口にしたのは「毎年のように優勝できる力がついた」「常勝軍団を目指す」-という力強い言葉の数々です。球団トップがよもや自軍の実力評価を誤るはずはないでしょう。そういえば、藤川監督も就任発表の席で「球団創設90周年を迎える来季は勝ちに行く」と言い切っていました。
■FA全4選手が残留
今オフ、阪神はFA市場に乗り出すこともなく、自軍のFA選手の残留交渉に100%の力を注いできました。結果的に大山、原口、坂本、糸原の4選手は全員が残留しました。後は現役ドラフトで畠(前巨人)を獲得し、今後は新外国人選手の獲得が進められるでしょう。派手な補強の巨人と静かな阪神…。それでも阪神には東の巨人、強い巨人を倒す宿命があります。精神的にひるむことなく、戦っていけばいいのです。
今季、巨人との対戦成績は12勝12敗1分けでした。優勝した昨季は18勝6敗1分けです。巨人に互角以上の対戦成績を残さないと、リーグ優勝は絵にかいた餅になりかねません。来年の初対決は4月4日の東京ドーム。大補強がどうした! 藤川阪神にはそうであってほしいですね。
【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。