「勢力拡大中」のボルボ派生ブランド EX90の兄弟へ感動 ポールスター3へ試乗
ボルボEX90の兄弟といえる電動SUV
北欧の自動車ブランドとして、ボルボから独立したポールスター。3番目の量産車、「3」が遂に発売される。アウディQ8 e-トロンやBMW iX、メルセデス・ベンツEQE SUVなどのライバルに当たる、大型SUVだ。 【写真】「勢力拡大中」のボルボ派生ブランド ポールスター3 競合クラスの電動SUVはコレ (132枚) ひと回り小さくクーペ風ボディをまとうSUVの「4」と、ポルシェ・タイカンへ伍する「5」、ロードスターの「6」が今後続く。最初に限定生産されたグランドツアラーの「1」はプラグイン・ハイブリッドだったが、これらはすべてバッテリーEVだ。 今回試乗した3は、ポールスターとして設計された初の量産モデル。1と2は、ボルボから販売される予定だったらしい。日本へ上陸していないものの、欧州や北米、韓国などで勢力を拡大しており、2024年前半に英国でも発売される。 ボルボと同じく、ポールスターも中国のジーリー・ホールディンググループの傘下にあり、両ブランドは技術的に近い関係にある。3は、3列シートを持つ大型SUV、ボルボEX90の兄弟といっていい。 プラットフォームは新開発のSPAで、ホイールベースは2985mm。駆動用バッテリーは107kWhと巨大で、急速充電能力は250kWまで対応する。一部グレードの駆動用モーターも含めて、これらはEX90と同一だ。 ステアリングホイールや、インフォテインメント用タッチモニターなども、EX90と共有。インテリアデザインの雰囲気は、北欧らしいといえるが、ボルボ的でもある。 かといって、エンブレムを張り替えただけのモデルではない。ポールスターは、よりスポーティーなSUVだと主張する。今回の試乗では、賛同できる印象を受けた。
2基のクラッチによるトルクベクタリング
筆者が向かったのは、スウェーデン南部のヨーテボリにある、ボルボのテスト施設。技術者やデザイナーへインタビューした後、ハンドリングコースを数周運転させてもらった。インフォテインメントと運転支援のシステムは、開発完了前で試せていない。 タッチモニターで稼働するソフトウエアは、ボルボEX30と基本的に同じ。実際に押せるハードボタンは少ないものの、ポールスターでは任意にカスタマイズできる範囲が広く設けられている。 表示されるメニューは大きなアイコンで触れやすく、階層を辿っていく必要も少ないようだ。それでも、ドアミラーやステアリングホイールの角度は、タッチモニターを介して調整しなければならない。 3列シートのEX90と異なり、3は2列シートで定員は5名。フロントシート側以上に、リアシート側の空間は驚くほど広い。 EX90と用いられる素材が異なり、内装は差別化が図られている。センターコンソールを占めるグロスブラックのプラスティック製パネルは、大きすぎて調和していないように見えた。 3の強みとなるのが、シャシーチューニング。サスペンションはツインチャンバーのエアスプリング。iXやEQE SUVなどのように、後輪操舵システムは備わらない。 リアアクスルには、トルクベクタリング機能を搭載。ディファレンシャルのかわりに2基のクラッチを採用し、リアモーターの出力を最大100%まで、片側のリアタイヤへ伝達することを可能としている。軽負荷時には、前輪駆動として走ることもできる。