パトカー内で仮眠、食事はバナナやカップ麺ですまし…被災地で奮闘する警察官たち「復興支援の舞台裏」
能登半島地震の発生から1ヵ月が過ぎた。 自衛隊や消防などと同様に全国の警察官らも元日より被災地へ派遣され、現在も懸命に活動を続けている。被災地における警察の活動内容は「人命救助」「交通対策」「防犯対策等」「死体調査活動等」が主な任務となる。 【画像付き】ひどい…!被災地の「ヤバすぎるトイレ事情」写真…! 人命救助は各都道府県警察に設置されている広域緊急援助隊という部隊が活動している。この部隊は’95年の阪神淡路大震災の際、消防に比べ乏しい資機材で要救助者の救助に難航したことなどを教訓に、警察独自のレスキュー部隊として創設され、人命救助に特化した装備資機材を多数保有している。さらに、’11年には東日本大震災を教訓に「警察災害派遣隊」が創設された。これは広域緊急援助隊に加え、交通・地域・刑事など警察の各部門の部隊も災害が発生した地域へ速やかに派遣されるというものだ。派遣された警察官らは3日間~最大1週間程度活動を行い、交代の部隊と引き継ぎ任務に当たっている。 被災地では連日各所で広域緊急援助隊をはじめとする部隊による救助・捜索活動が実施されている。残念ながら遺体として発見された場合、遺体を臨時の安置所へ搬送し、検死を行ったのち遺族へと引き渡す。様々な状態となってしまった遺体を分析・鑑定し、身元特定を急いでいる。 被災地では交通規制も連日実施されている。現地は穴水町~輪島市~珠洲市へ繋がる道路が一方通行規制が取られていることや、信号が機能していない交差点などが複数存在するため、普段、高速道路や幹線道路などで取締活動などを行う高速道路交通警察隊や交通機動隊などの部隊が現地で交通規制の任務を行っている。 迂回のため集落内を通行しなくてはならない道路も存在したが、車が支障なく通れるようにと、かき分けた雪を道路の割れ目に敷き詰めて少しでも通りやすくするなど工夫をしている警察官たちもいた。彼らは交代で任務に当たっているが、休憩などはその場で設営された簡易テントやパトカー内で仮眠を取っており、食事はカップ麺やバナナなどで済ませていた。トイレも簡易トイレなどで用を足していたという。他にも、警察無線などの通信システムの復旧や映像伝達などの任務に当たる情報通信部の機動警察通信隊も被災地入りしており、警察業務を支えている。 被災地では悲しいことに窃盗や詐欺などの事件も発生している。周囲に溶け込みやすい服を着て、はたまたその家の身内のフリをして被災した家屋に浸入し、金品を奪い去る空き巣や、被災した家屋の屋根に勝手にブルーシートを張ったり、一方的に住宅補修などを行い施工費と称して数十万円の金額を取るなど、傍若無人な犯罪が目立っている。 警察庁の発表によれば、1月25日までに32件の空き巣や置き引き等の犯罪を認知している。警察も数々の災害を教訓に各種警察活動を強化しており、昼夜を問わずパトロールを行い不審者などに目を光らせている。同時に私服警察官も覆面パトカーでパトロールを行っており、犯罪抑止や被災者の安全安心のため応援部隊を含めた警察活動は当面続きそうだ。 撮影・取材・文:有村拓真
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