韓国政府が毎月足りない資金を調達するために発行する「財政証券」の規模が７－９月期にすでに昨年の水準を超えて過去最大水準に達することが明らかになった。月々の歳出に比べ歳入が一時的に不足した状況が続いてだ。税収欠損により今年の国の財政赤字は昨年より１８兆ウォン（約１兆９８８１億円）以上増加した。 韓国企画財政部が１０日に安道杰（アン・ドゴル）議員（共に民主党）に提出した資料によると、１月から９月までに韓国政府が発行した財政証券は４９兆７８００億ウォン規模だった。昨年１年間の発行額４４兆５０００億ウォンより５兆ウォン以上多い規模だ。財政証券は政府が短期的な国庫不足資金を充当するために発行する短期借入手段のひとつだ。政府は財政証券とともに韓国銀行からの一時借入などで資金を融通できる。 ◇増える利子負担 財政証券は６３日物または２８日物の短期証券で、年内にすべて満期となるため借金として残り続けることはない。問題は歴代級の発行規模による莫大な利子費用だ。 今年の財政証券発行増加により負担しなければならない利子はすでに昨年規模に迫る。１～９月の財政証券利子額は２７３７億ウォンだ。昨年の年間利子額２７４７億ウォンを超えることが確実視される状況だ。 政府の「マイナス通帳」と呼ばれる韓国銀行からの一時借入も過去最大水準に増加した。１～９月の韓国銀行の政府向け一時貸付金は１５２兆６０００億ウォンだった。これに伴う利子額は１９３６億ウォンに達する。 法律により政府は資金を調達する際に韓国銀行から借り入れるより財政証券を優先的に発行しなければならない。しかし政府は今年財政証券より３倍以上の額を韓国銀行から借り入れている。財政証券より韓国銀行からの一時借入の方が利子費用が少ないためだ。これに対し中央銀行がお金を印刷して政府に融通する「財政の貨幣化」が発生したという批判もある。 政府の歳入と歳出の不一致が続くと追加的な財政証券発行につながるほかない。今年の歳入は政府が予想したよりも少なく、歳出は予定より早く執行した。「迅速執行」の名目で政府は今年３月までに年間予算の約３分の１（進度率３２．３％）を使った。企画財政部関係者は「積極的に予算を執行する過程で歳入と歳出のずれを埋めるために財政証券と韓国銀行からの借入を活用したもの。長く借りるお金ではない」と説明した。 ◇国の財政は８４兆ウォンの赤字 支出が収入より大きく増え政府財政の穴はますます大きくなっている。この日企画財政部が発刊した「月刊財政動向１０月号」によると、総収入から総支出を差し引いた統合財政収支は今年８月までで５０兆４０００億ウォンの赤字を記録した。統合財政収支で国民年金など社会保障性基金収支を除いた実質的な財政健全性を示す管理財政収支は８４兆２０００億ウォンの赤字で、赤字幅が前年同期より１８兆２０００億ウォン増加した。 歳入と歳出の不一致の問題を解決するためには安定した税金収入が確保されなければならないが、政府は今年の国税収入が当初予想より２９兆６０００億ウォン不足すると明らかにした状態だ。安議員は「増えた利子によって国の財政余力はさらに減っている。政府は減税に固執するより安定した税収を確保しておかなければならない」と強調した。