高水準ではないが、低水準でもないぞ! オモダE5 個性の薄い容姿 不満のない走り 強者の好敵手に?
荷室は狭め 0-100km/h 7.6秒の不足ない動力性能
リアシートの広さは、このクラスの平均程度。身長180cmくらいの大人でも座ることはできるものの、足元や頭上の空間に余裕があるとはいえないだろう。 荷室容量は292Lと狭いが、床下の収納はカウントされていないのかも。数字としては小さなハッチバック並みだが、フロアのパネルを持ち上げると、意外と大きい空間が現れる。しかも、フルサイズのスペアタイヤも載っている。使い勝手は悪くなさそうだ。 フロントのボンネット下にも、収納が用意されている。充電ケーブルをしまうのには、少し小さいようだが。 さて、確認はこのくらいにして運転してみよう。車重1710kgに203psだから、5Eは電動ファミリーSUVとして不足ない動力性能を備える。0-100km/h加速は7.6秒だ。アクセルペダルを目一杯踏んでも、フロントタイヤが鳴くことはなかった。 全体的にスムーズで、必要に応じて充分なパワーを引き出せ、運転しやすい。交差点でステアリングを切りながら鋭く加速させても、進路が乱れるようなトルクステアもない。 回生ブレーキは、1番弱いモードが扱いやすいと感じた。効きを切り替えるには、わざわざタッチモニターを触れる必要があり、1段強くするとアクセルレスポンスに違和感が出る様子。直感的ではなく、ギクシャクした減速感になってしまう。 ブレーキペダルを踏まずに止まる、ワンペダルドライブには対応しない。周囲の交通状況に合わせて変化する、アダプティブ・モードもない。
走りに目立った不満はなし 装備充実でコスパ高し
E5のボディの位置は高めで、不快に感じるほどではないものの、カーブでは明確に左右へ傾く。高速道路や峠道をキビキビ運転するというより、ゆったり気ままに流すようなスタイルを前提にしている。 ステアリングホイールは軽く回せる。路面からの感触は薄いものの、反応は正確で予想しやすい。スポーツ・モードを選ぶと、僅かに重さが増す。 乗り心地は、市街地の低速域では細かい揺れが目立つ。高速域になれば、しっとりしてくる。履いていたタイヤはクムホで、18インチの扁平率55だった。 総合的に見て、E5の走りで不満に感じるような部分はないといえる。感心するほどの高水準ではないが、決して低水準でもない。 E5は、価格に見合った仕事をしっかりこなす電動SUVだと思う。プロトタイプではあったが、エネルギー効率は低くない。流れの速い郊外の道では適度な安心感があり、傷んだ路面を通過しても、ダンパーの設定を変更したいと感じないほど快適でもあった。 そして、コストパフォーマンスが高い。上級グレードを選べば、基本的な装備のほか、パノラミック・ガラスルーフや360度カメラなども付いてくる。英国のこのクラスには、MG 4 EVという強者がいるが、好敵手になる予感がする。 ◯:秀でたコストパフォーマンス 安定した走り フルサイズのスペアタイヤ △:荷室が狭め 扱いにくいタッチモニター 低速域での乗り心地
オモダE5 ノーブル(プロトタイプ/英国仕様)のスペック
英国価格:3万5500ポンド(約682万円/予想) 全長:4424mm 全幅:1830mm 全高:1588mm 最高速度:172km/h 0-100km/h加速:7.6秒 航続距離:413km 電費:6.4km/kWh CO2排出量:- 車両重量:1710kg パワートレイン:永久磁石同期モーター 駆動用バッテリー:60.4kWh(実容量) 急速充電能力:80kW 最高出力:203ps 最大トルク:36.4kg-m ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)
ヴィッキー・パロット(執筆) 中嶋健治(翻訳)