無縁墓いくつある 広島県三次市が実態調査開始 市営墓地で使用者確認の立て札
全国の公営墓地で引き継ぐ親族のいない無縁墓が問題となる中、広島県三次市は今夏、市営墓地の使用者調査に乗り出した。市内9カ所の墓地はいずれも完成から30~50年がたち、無縁墓のケースも想定されるという。一部区画に市への連絡を求める立て札を設置し、現在の使用者の確認から始める計画だ。 市営墓地は市中心部や吉舎、三良坂町に計約1200区画ある。1区画4平方メートルで使用料は1平方メートル1万2千円~4万2041円。使用開始時に全額を支払う仕組みだ。 使用者の台帳はあるものの「定期的に更新してこなかった」と市環境政策課。使用者の代替わりを把握できておらず、既に無縁墓のケースもあり得ると危ぶむ。 こうした中、南畑敷町の第二黄幡墓地で調査に着手。全189区画のうち30区画に立て札(縦20センチ、横10センチ)を立て、墓参りに訪れた人に市へ連絡するよう求めている。 きっかけは、総務省が昨秋に公表した全国の無縁墓の調査報告書。公営墓地や納骨堂があると答えた765市町村のうち58・2%の445市町村が「無縁墓が1区画以上ある」と回答した。三次市は未回答だった。同省の調査では墓石の倒伏や草木の繁茂など墓地の環境悪化も浮かんだ。 三次市の墓地・管理条例では、使用者の住所が不明のまま10年が経過したとき、市長が使用許可の取り消しや区画の返還を命じることができるとしている。その場合、更地にしての返還を求めるが、無縁墓になると墓石の撤去などの難題に直面しかねないという。 「まずは使用者の確認が急務。無縁墓を防ぐためにも実態の把握に努めていく」と同課。立て札の増設に加え、台帳を基に文書を郵送しての確認も検討し「代替わりしている場合は継承の手続きを進める」としている。
中国新聞社