通算200勝を果たした中畑監督は名将なのか
横浜DeNAの中畑監督は、逆転勝利を遂げた13日の中日戦で、2012年に監督就任以来、監督4年目で通算200勝を達成した。大洋時代を含む過去の横浜の監督としては、別当薫(6年で366勝)、三原脩(8年で509勝、優勝1度)、大矢明彦(5年で259勝)、権藤博(3年で219勝、優勝1度)に、次ぐ5人目の達成。 試合後、200勝についての感想を求められた中畑監督は、「やったあ、小さく喜ぼうね」と両手でいつものピースサイン。「別にたいしたことでは……」と謙遜しかけたと思いきや「僕にとってはたいしたことですよ、200できるまで(監督を)やらせてももらって、ありがとうございます。またがんばります。次は201勝。明日したいな」と笑顔で語った。 歴代監督に肩を並べた200勝監督は果たして名将なのか。 ひとつ言えるのは、最下位監督でも、年間50勝前後はするのだから、誰でも4年も監督をやれば、200勝には到達するもの。200勝したことよりも中畑監督自身が語っているように200勝を果たすまで球団から契約を切られることなく4年続投していることが評価されるべきだろう。 CS出場が一度もないが、フロントのアイデア満載の営業努力もあって観客動員は、右肩上がりだ。中畑監督も、球団の方針に理解を示して、例えば、100万円チケットに関しての試合後の食事会にも参加するなど、協力を惜しまず、積極的にチームのイメージアップに対しての努力を続けてきた。今キャンプでは、元巨人、ヤンキースの松井秀喜氏を招聘してスポーツ紙の一面をジャックした。またグラウンドに目を向けると、筒香、梶谷ら生え抜きの若手を根気強く育てた指導力、昨年の山口の抑えから先発への配置転換、新人の三上の抑え起用など、スピード感のある思い切った決断力も、フロントに評価され、3年続けてBクラスにも関わらず異例の留任となっている。 阪神DCで評論家の掛布雅之氏は、こんな見方をしている。 「名将かどうかを私が評価する立場にはありませんが、この3年間、中畑監督のスタイルがぶれなかったことは評価されていいでしょう。厳しさの中にも、明るさを忘れず、話題を提供し続けてきました。中畑監督は、本来、真面目な人ですが、あえて意識的に明るい野球を発信し続けています。今のような好調なチーム状況では、誰でもできるでしょうが、負けている中でも、指揮官が明るくふるまい続けることは簡単ではありません。いくらプロと言えど、野球の原点であるエンジョイというものを忘れない。そういうチームの雰囲気作りが若い選手がノビノビと野球のできる環境となっています。 梶谷、筒香、石川といった選手が伸びてきた背景には、間違いなく中畑監督の姿勢があるでしょう。新人ストッパーの山崎が、いらないプレシャーを感じることなく集中できているのも、中畑監督だからこそでしょう。 長島さん、王さん、最近では、ソフトバンクの工藤監督ら、やはり、日本の野球では、監督が持つ華や魅力というものが、ファンの関心を集めます。3年連続Bクラスでありながら、球団が、4年目も球団が中畑監督に任せたのは、そういう存在感もあったのだと思います。監督としての本当の評価は今年こそ問われるのではないでしょうか」