大俳優にも見込まれた注目の新進、杉田雷麟 寒くて暑かった主演映画、公開中
公開中の映画「プロミスト・ランド」は、自身の存在意義をかけ、禁じられた熊撃ちに挑むマタギの青年たちの姿を描く人間ドラマ。注目の若手俳優、杉田雷麟(らいる)(21)が、マタギの青年を演じ、雪の残る山形の山中で過酷な撮影に挑んだ。 【画像】映画「プロミスト・ランド」 ■雪と日差し ドキュメンタリー映画「MATAGI-マタギ-」(令和5年)でマタギに密着した飯島将史監督が、飯嶋和一の同名小説を映画化した。 主人公は、マタギの伝統を受け継ぐ山間の町で、高校を出て親の仕事を手伝う20歳の信行。土地の閉鎖的な暮らしに嫌気が差しているが、流されるままに日々を送っている。 今年は熊狩りを禁じるという国の通達が届く。無視すれば密猟になるが、反発するのが礼二郎だ。 信行のあこがれの兄貴分である礼二郎は、熊撃ちの誇りをかけて、信行に密猟の決行をもちかける。 一度は断る信行だが、ある早朝、山へと向かう礼二郎と信行の姿があった。 信行を杉田。礼二郎を寛一郎(27)が演じた。 山形の山中で、昨年4~5月に撮影。 「ずっと寒かった。ところが、晴れていると、日差しが雪に反射して日焼け止めをしないと焼けそうなぐらい暑いんです。だけど、雪の中なので足は冷たい。寒くて暑い。すごい状態でした」と杉田が振り返って笑う。 礼二郎は山の上で銃を構え、信行が「ほーい、ほーい」と声を出し、山の上へと熊を追い立てる。 「実際に山を登りながらの撮影で、疲弊して最後は絶叫しています」 ■佐藤浩市との〝約束〟 山中の熊撃ちが見どころであることは確かだが、その結果、2人がどういう人生を選択するのか。これこそが、映画の重要なポイントかもしれない。 杉田が寛一郎と芝居についてもっとも熱心に協議したのも、熊撃ちの後、2人が再会する場面だった。 「信行と礼二郎の成長を表現するには、どういう感情で向かい合うべきかと話し合いました」 寛一郎の父親は日本を代表する俳優の一人、佐藤浩市(63)だが、杉田が俳優で生きていく決心をさせたのが佐藤だった。 杉田は、ドラマ「Aではない君と」(平成30年、テレビ東京系)で、佐藤が演じる主人公の息子役に選ばれた。