大俳優にも見込まれた注目の新進、杉田雷麟 寒くて暑かった主演映画、公開中
「この世界で食っていくつもりか?」。初対面でいきなり佐藤に聞かれた。
面くらいながらも「はい」と答えると、「そうか。それなら気が済むまで付き合ってやる。芝居に納得がいかないときは、そこで、お前がカメラを止めてもいいぞ」と言われた。
「そんなことできるわけない」と驚いたが、撮影が始まると、佐藤が芝居をやめて、カメラを止めたことがあった。
「お前、そんな芝居じゃ受けられないぞと教えてくれたんです。当時、自分の力不足を痛感していたので、育ててもらったと感謝しています」
今回、寛一郎と共演し、「〝親子共演〟を果たせました」とうれしそうに笑う。
■刑事役へあこがれ
14歳で事務所のオーディションを受け、「半世界」(阪本順治監督)、「罪の声」(土井裕泰監督)、「福田村事件」(森達也監督)など映画を中心に活動している。
「映画の現場が好きなので、映画中心でやっていきたいです。一方で、視野を広げたいとも思っています。最終的には、主演でも脇役でも務まる俳優になりたい」
意外だが、「刑事役に挑戦したい」という夢もある。両親がレンタルして見ていた影響で、「踊る大捜査線」や「古畑任三郎」などの刑事ドラマが大好きなのだという。
「『踊る大捜査線』は、実写映画であんなに大勢の人が見たなんてすごいですよね」
いつかは刑事役を。そして、今は、ともかく芝居が楽しくてしかたがない。
「全部うまくいくわけじゃなくて、悩んで、壁にぶつかることのほうが多いのですが、それが楽しいんです。この世界で食っていくと浩市さんに言った以上、辞めるわけにはいきません」(石井健)