月に数百万円稼ぐツワモノも!急拡大する素人の「同人セクシー動画市場」が熱狂的に支持されるワケ
YouTubeやSNSなどによる各種配信や物販で、素人でも一攫千金を夢見られるようになった。ネットを通じたコンテンツ配信の収益モデルの進歩、ECサイトの発達による流通の変化と加速、さらに新型コロナ禍を経ての社会の再構成を経て、〝お金の稼ぎ方〟が大きく変わっているのだ。 【画像】な、生々しい!コスプレイヤーの同人セクシー動画撮影中の一コマ ビデオデッキの普及を例に、昔から「メディアを普及させるのはアダルト文化」と言われているが、その動きは「同人のセクシー動画」の世界に顕著に見ることができる。現在、この世界では素人でも月に数百万円もの大金を稼ぐことが可能になっているのだ。コスプレ系同人AV販売サイト大手「DL.Getchu.com(ディーエルゲッチュコム)」の企画開発室室長OH氏によれば、「アダルト業界は正規の動画も同人の動画も、ネットによる配信販売が主になっている」という。 「同人セクシー動画は、いわゆるアダルトビデオとは出自から異なります。アダルトビデオはメーカーが商品として制作し、販売するもの。同人セクシー動画はその名の通り同人……個人、あるいは同じ趣味を持つ個人の集まりが制作します。好きな人が好きな衣装を着て好きな絵を作り、それを写真なり動画なりにして頒布する。同人誌のアダルトビデオ版だと考えればわかりやすいでしょうか。 コミックマーケット(通称コミケ)などの同人即売会で頒布されるものの延長にあり、買う側も売る側もアマチュアです。映像の長さは自由で、価格も500円~1万円と幅広い。セクシー動画を売りたい人は専門サイトに必要な情報を登録して、規約を守りながら作品を投稿します」 ――どういうシステムで、どのぐらい稼げるのでしょうか? 「販売額・販売数に対して数十%の料率を投稿者さんにお支払いしています。料率はケースバイケースですが、従来の販売形式でのアダルトメーカーの作品に比べれば数倍になると思います。ウチだと投稿者の上位10~15%くらいが数百万の月収を得ています。ウチ以外のサイトにも登録して、リアルイベントやアダルトショップの店頭でも販売している方はもっと驚くほどの売り上げがありますよ」 ――なぜ、同人セクシー動画市場は大きくなったのでしょうか? 「昔から、夏と冬に開催されるコミケで人気コスプレイヤーのセクシー系動画が頒布されており、1日で700万円も稼ぐ子がいました。しかしあくまでそれは、巨大イベントなどの“場”があってのもの。当サイトが立ち上がったのが’06年。そのころはリアル市場で行われる物販のほうが売り上げは大きかったのです。ところが、コロナ禍を経て物販の形が激変しました。自宅にいながらネットで稼げるようになったのです」 「コロナ禍で多くの方が職を失いました。風俗、水商売、モデル、コスプレイヤー、そして一般職の方も大勢が失職してどうすれば稼げるのかと悩んだとき、そこにあったのがECサイトでの同人セクシー動画の販売でした。そして、やってみたら予想以上に儲かってしまった。コロナ禍ではお客さんも家から出られない。これがECサイトの普及に追い風となりました。ECサイトでコンテンツを買う文化が急速に広がっていったのです。それまでイベントに足を運んで物販を楽しんでいた方たちもECサイトに参入。ネット購入のニーズが増えました。市場が大きくなった背景にコロナ禍があったのです」(OH氏) 同人セクシー動画を作っているのは「コスプレイヤー、水商売の方など様々」だとOH氏は言う。 「自宅で家族と暮らしながらコッソリ撮っている方もいますし、夫婦や恋人同士で撮っている方もいます。これまで動画コンテンツ制作の世界でバリバリやってこられた方が参入するケースも頻繁にあります。動画作成のノウハウを持っていて、かつ同人という場にアジャストできる人は本当に強い」 ――制作にはどんな機材が必要ですか。素人でもできるものですか? 「プロが使うような業務用カメラは必要なく、ここ数年内にリリースされたスマホがあれば画質的にも十分。アプリで必要な機能は揃います。これはあくまでウチのサイトでの話ですが、同人ならではの空気感が好まれるため、カメラアングルも素人っぽいほうがいい。スマホを固定してカメラワークなしで撮った動画でも売れます。むしろそれが主流でプロっぽいものは、売れ線から外れますね。 女の子一人か、彼氏やパートナーと二人で出演する動画が好まれます。被写体となる女性の知り合いがいないと参入ができないかと言えばそうでもない。令和のいま、SNSで探せばモデルはいくらでも見つかります。DMで丁寧にやりとりをして金銭面の条件や支払い方を明確にすれば、すぐにでも撮影はできます。もちろん、人間性は見ないといけません。社会常識を身につけた子を見つけ出すことが肝要です。 大変なのはモザイク処理と、サイトに掲載されるサムネイルの制作でしょうね。モザイクはアプリを使って入れるのですが、単純に手間がかかります。人目を引くサムネイルになるよう、どんなシーンを選び、どんなタイトルをつけるかも皆さん、苦心されているようです。売れる動画には共通点があります。そのへんはいくらでもお教えしますよ(笑)」 ――令和の売れ線を教えてください。 「可愛い女の子がエッチなことをするというのが王道です。ですが、同人メディアの強みで、マニアックなモノもハマれば売り上げが期待できます。最近では、女装少年もの=男の娘(おとこのこ)モノがマニアックな立ち位置からスタートして認知され、人気ジャンル化しています。 よく『顔出ししたほうが売れるのか?』と聞かれますが、全く関係ありません。たしかに美人で顔出しが可能な人なら、それを押し出していくのは戦略のひとつではありますが、バストが大きいとか、おしりの形がいいとか、太っている、とか毛深いとかでもいいんです。何か強みがあるなら、その売りを強調したほうが売れるのです。 あとは、売り方ですね。大事なのはSNSでの動画のちょっと見せ、リプライ、宣伝。ファンとのこまめなやりとり、イベントへの積極的な参加、ファンサービスが大事です。あと、ウチでいえば、売れるコスプレを見極めること。『この作品が話題だから、このコスプレでいこう』という安直な考えでは売れない(笑)。 長く販売を続けるため、堅実に売り上げを立たせるためにはモラルと法律を守ることも大事です。法律違反はすぐに見つかって通報され、罰を受けます。AV新法も守らなければいけません。急に大金が入ると気が回らなくなるものですが、税務署に申告してちゃんと納税する。長い目でみれば、法律を遵守しているサイトやスタッフと組むことが、後々の安定につながります」 ――これから、同人セクシー動画はどうなっていくと思いますか? 「ユーザーの囲い込みを考えて会員を募り、月会費を集めるという形で運営するファンサイトが普及するでしょうね。ウチも近々、始めようと考えています。東南アジア、タイ、シンガポールの人々にも売れ始めているので、まだまだ市場は広がっていくと期待しています。 投稿者にもニューカマーが欲しいですね。東京のトー横系、大阪のグリ下系といったところに集まってパパ活をしている女の子……男の子でもいいけど(笑)、彼らのニュースを見るたび、病気などのリスクに怯えながら社会の闇に飲み込まれていくより、同人動画で儲けるほうがよほど安全で稼げるのに、と思っています」 社会の形、市場の形、それにまつわる人々、その姿は、気付かない間に大きく変わっている。そういう新しい形で動いているカルチャーについて知ることは、この先の時代をサバイバルすることにつながっていくのではないだろうか。 文・PHOTO:来栖美憂 くるす・みゆう フリーライター。人文、社会問題、サブカルチャーなどを主な守備範囲とし、雑誌・新聞・ネット等、メディアを問わず、記事の取材・執筆を中心に活躍。著書多数。 取材協力:同人作品ダウンロードサイト・DL .Getchu.com(ディーエルゲッチュコム) URL:dl.getchu.com X ID:@dl_cosplayer
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