台風２３号の緊迫した状況を紹介し、リーダーの素早い判断の重要性について語る豊岡市の中貝前市長（福知山市駅前町・市民交流プラザふくちやま）

　地域防災を考える連続セミナーが京都府福知山市駅前町の市民交流プラザふくちやまで開かれた。2004年の台風23号で甚大な被害を受けた豊岡市の当時の市長、中貝宗治さんが、「災害時のリーダーシップ」をテーマに講演。首長が命を守る視点を最優先に迅速に指揮する姿勢、市民と行政が災害時の判断や行動について考え方を共有し、信頼関係を構築する大切さを訴えた。 　中貝さんは同台風で豊岡市を流れる円山川の水位が急上昇し、堤防が決壊するまで状況を説明。市街地に降った内水を川に排水するポンプを止める判断を迫られた際、「市街地が浸水してでも、決壊から市民の命を守る判断を優先した」と振り返った。 　4万3千人に発令した避難指示に応じたのが3800人に過ぎなかったことを明かし、「人には危険が迫っても自分は大丈夫と考える心理傾向がある。危険度が高まっている状況を認識できるよう最新の情報を更新し、発信し続けることが大切」と強調した。 　過去の大災害を教訓に行政ができる対応には限界があるとし、「命や生活を守るため、個人、地域社会、行政がそれぞれ何ができるかを日頃から考え、共有することが災害対応力を高める」と締めた。 　福知山公立大地域防災研究センターなどが10月11日に催した。セミナーは計10回あり、福祉や復興、市民活動などの観点から災害を考える。