RAZORメンバーのズボンが忽然と消えた!衍龍「神隠しだと思った…」珍事件の結末とは【ソロインタビュー連載第3回】
5人組ヴィジュアル系ロックバンド「RAZOR」(レザー)が、結成8周年を記念した全国ツアーを精力的に巡っている。先月リリースされたベスト盤「残光」には、リード曲「AfterGlow」をはじめ、RAZORの歴史と現在が凝縮された全12曲を収録。バンドとの向き合い方やツアー中のエピソード、そして未来へのビジョンを見つめるメンバーに迫るソロインタビュー連載をお届けする。3回目はギターの衍龍(こうりゅう)です。 【写真】私物のズボンが「神隠し」にあったベースのIZA ――「残光」が発売されて1カ月ほど経ちました。このアルバムはどのような作品だと感じていますか? 衍龍「ベストアルバムなので、過去のシングルが並んでいる感じで、ファンの方には聞き慣れた曲ばかりだと思います。ただ、いくつかの曲にはリミックスが加えられているので、ファンがどう感じてくれているのか感想を聞くのが楽しみです。懐かしい曲も多く収録されていて、特に『さよなら』はRAZOR結成当初の6~7年前の曲なので、今になって音源として出るのが胸アツです」 ――ベスト盤収録曲をライブで演奏することで、発表当時とは違う成長を感じたり、新たなファンの反応が見つかったりすることはありますか? 衍龍「曲ごとに振り付けやファンのヘドバン、ジャンプなどのノリがあるんです。久しぶりに演奏する曲もあって、“あれ、ここのノリってこんな感じだっけ?”って個人的な意識の中で思ったりすることがあります」 ――収録曲の中でも「AfterGlow」が深夜番組などでプッシュされていますが、この曲を演奏する際にどのような点にこだわっていますか? 衍龍「この曲、忙しいんです。僕のパートでは音色の切り替えが多く、フレーズ間の隙間も少ないんです。手で演奏しながら足で音色を切り替えないといけないので、ちょっとでもタイミングがずれると曲調が変わってしまうんです。かなり気を張って演奏しています。一発目に披露したときはちょっと怖さすらありました」 ――緊張感が伴う曲なんですね。音色のパターンは何種類くらいあるんですか? 衍龍「この曲では4パターンの音色を使っています。RAZORの曲の中では2番目に多いですね。また、ギター側でも切り替えが必要で、3段階のスイッチャーを使っているんですが、真ん中に切り替えないといけないんです。ライブ中に“うぉりゃ~!”って高ぶっちゃうとミスしかねないので、パフォーマンスは熱くしながらも心と頭は冷静に冷静にということを心がけています」 ――「AfterGlow」はメディアを通じていろいろな人の耳に届いていますが、ファンや地元の友人からの反響はありましたか? 衍龍「昔一緒にバンドを組んでいた仲間たちから“見たよ”と連絡が来て、マジか!ありがとう!って返して。うれしいですね。今でも気にしてくれていることに」 ――ありがとうございます。次に、ボーカルの猟牙さんが10月31日に「現代社会とヴィジュアル系」というテーマで長文の投稿をしていましたが、衍龍さんご自身にとって、このバンドの立ち位置や今の音楽シーンでヴィジュアル系の存在をどのように感じていますか? 衍龍「僕はRAZORを組んだ時から、自分たちをヴィジュアル系バンドというカテゴリーにはめたことはないんです。メイクで自分を表現しているロックバンドだと考えています。そのため、メイクをしているから “ヴィジュアル系バンド”と認識されやすいんですが、そうは考えてません」 ――表現の比重はあくまでサウンドにあるということですね。 衍龍「ヴィジュアル系は音楽シーンからすると異端な存在じゃないですか。その中で時代と共に進化し、よりオープンになってきたと感じます。昔よりも多様で研ぎ澄まされている部分があると思っています」 ――8周年の全国ツアー中、何か心が動かされたエピソードがあれば教えてください。 衍龍「ツアーの合間に出演したイベントライブの舞台裏で、面白い事件がありました。ライブが終わって楽屋に戻ってきたら、翌朝5時に福岡へ移動だったので、荷物をまとめてみんな早く帰ろうという流れだったんです。でもなかなかメンバーが着替えてなくて。どうしたんだろうって雰囲気になった時、うちのベースのIZAが『着た時に履いてたズボンがない!』と言い出して。だから衣装のズボンで帰らないといけない状態になって(笑)。僕も自分の荷物の中を確認して無かったし、次の日早かったら先に帰ったんです」 ――それで、ズボンはどうなったんですか? 衍龍「家に戻って福岡に向かうために荷物を整理していたら、知らないジャージが出てきて…。でもどこかで見たことあるなと思ったら、まさかのIZAのズボンだったんです(笑)。自分でカバンに入れた覚えもないし確認したのに、なぜか入っていて焦りました。すぐにLINEで『ごめん、ズボン俺のカバンにあったわ』と連絡したんです。きっとメンバーにめっちゃに爆笑されてたんだろうなって想像しちゃいました」 ――これぞ神隠しですね。 衍龍「本当に神隠しかと思いましたね。ズボンがなくなったままだと僕が盗んだみたいに思われかねないので、すぐにLINEで報告しました」 ――11月30日で結成8周年を迎えますが、現時点でバンドとして実現できたことについて教えてください。 衍龍「RAZORの始動ライブは、同じ事務所の先輩バンドであるナイトメアのオープニングアクトから始まりました。8年間の中で、今まで組んできたバンドではやれなかった、そして昔から演奏してみたいと思っていたライブハウスで次々とライブできたことです」 ――8周年ツアーファイナルとなる恵比寿LIQUIDROOMでの意気込みをお聞かせください。 衍龍「ここもずっとやりたかったハコの一つです。何回もやっているハコですが、今回のツアーを通じていろいろなことに気を配りながらやってきたので、ファイナルではそれらを自然に表現できるようにしたいと思っています」 ――ありがとうございます。ファイナルが終わると9年目に入りますが、個人の目標とバンドとしての目標を教えてください。 衍龍「ここまで続けられたのは正直予想外で、メンバーも“こんなに長く続くとは”と思っているんじゃないかと。今は10周年を目標にして無事にその日を迎えたいと思っています。自分の目標がバンドの目標でもあります ――今年は大みそかにカウントダウンライブにも出演します。ファンの皆さんも楽しみにされているかと思います。 衍龍「RAZORとしてカウントダウンライブをやるのは初めてです。本当は家でゆっくり横になって、テレビでも見ながら新年を迎えたいところなんですけど(笑)。でもメンバーみんなやりたがっているので、気持ちを奮い立たせて、重たい足を運んで頑張ろうと思っています!」