106億円溶かした大王製紙元会長に聞く「投資とギャンブルで勝てる人の共通点」
新NISAや日経平均の上昇を受けて株式投資を始める人が増加中だ。しかし、そんな“株ビギナー”たちからは早くも「損をした」「やらなきゃよかった」といった声が続出する事態に……。初心者がやりがちな失敗する思考パターンを知り、勝ち組投資家を目指せ! ⇒【写真】現在は実業家の井川意高氏
投資とギャンブルの共通点は…
投資で手持ち資金を失うことを「熔かす」と表現するが、この言葉はギャンブルでも使われる。そして、まさに『熔ける』というベストセラーで知られるのが、大王製紙元会長の井川意高氏だ。かつてカジノで106億円余りを失った井川氏だが、その過程では10億円近く勝つ日もあったという。 ギャンブルと投資は似て非なるものとはいえ、勝敗を分ける要因に何か共通点はあるのか? そんな問いかけを井川氏にしたところ、「共通点なんてないですよ」と一笑に付す。 「特に私が好きなバカラなんて、勝つか負けるかは完全に運次第。まれに引き分けはあるものの、基本的には丁半博打のようなものですから。値動きに裏付けがあって、そこを予測する投資とは別物です」
メンタル面においては似た部分がある
とはいえ、競技性に共通点はなくても、勝敗を左右しかねないメンタル面においては、似た部分があるという。 「やはり『冷静さを失ったら負ける』ということでしょうね。私もバカラで連続して外すと『次こそは!』と大きく張ってまた負けていました。熱くなって負けを取り返そうとするのは典型的な負けパターン。やはり“前がかり”になりすぎるのはよくないです」
ほどよく疲れていると勝率がよくなった
反対に、ほどよく疲れているときは不思議と勝率が上がっていたと回顧する。 「当時は月曜から金曜までバリバリ働き、その夜に直行便でシンガポールに行き、週末はほとんど徹夜でバカラをやる生活でした。ただ、『やるぞ!』と意気込んでいるときに限って最初の勝負はよく負ける。もちろん負けたままでは帰れないので、その後、追加で勝負すると、案外勝つことが多かったんです。気力も体力も限界だと変な気合が入らないので、“脱力状態”がよかったのかもしれません」 ちなみに、アメリカではギャンブルなどの依存から脱却する困難さを「ピクルスになったキュウリは二度と元に戻らない」と表現するという。 「ギャンブルにハマる人に多いのは、ビギナーズラックで勝った人です。勝つ興奮を一度味わうとやめられなくなる。ギャンブルをしない人にはいくら説明しても伝わらないのですが、当時は金額どうこうよりも勝った瞬間の“脳汁”のためにやっている感覚でした。新NISAで投資を始めた人も年初の相場がよかったから最初は勝っていたでしょうし、味を占めて興奮を求め始めると失敗してしまうでしょうね。冷静さを欠いて感覚が麻痺したら終わりですよ」