半減期の影響とマクロのシフト、ビットコインの追い風に
4月の4回目の半減期により、ビットコイン(BTC)の10分ごとの新規発行に対する報酬は3.125BTCに減少し、大きな興味と投機を引き起こした。
半減期後
半減期以降、ビットコインは高値から下落しており、一部の投資家は価格が上昇する時代は遠い未来になったと懸念している。 我々は、3月の新しい史上最高値(7万ドル超)は、新たに登場したビットコインETF(上場投資信託)が牽引した「フェイント」だったと考えている。しかし、半減期と現在進行中の需給問題を考慮すると、この先、ビットコインと暗号資産(仮想通貨)の未来は明るくなると予想している。 なぜビットコインは頂点に達したと考える識者がいるのか? そして、なぜ急落したのか? 過去の半減期とは異なり、ビットコイン価格は半減期の1カ月前の3月14日に史上最高値7万3750ドル、時価総額1兆4400億ドルにまで急騰した。 3万9000ドルだった年初からの急騰は、投機的な投資家や「半減期トレード」目当ての投資家を怯えさせ、清算を促した。 しかし、今回の下落はマクロ要因、特に米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派的発言に起因していると思われる。2024年に利下げが実施される可能性は低くなり、利上げの可能性さえ出てくるなか、これらの要因が「リスクオフ」心理に火をつけた。 だがその後、経済データは予想を下回り、利上げの可能性は今のところ極めて低くなっている。この変化により、リスクトレードが再開され、ビットコイン価格は即座に底を打ち、その後6万ドルを超えて回復した。また、ビットコインの需給要因も、価格上昇に有利と思われる方向にシフトしていることを示している。
強気の理由
ビットコインと暗号資産に強気になる理由はいくつかある。 第一に、過去3回の半減期では一貫して、その後の数カ月でビットコインは史上最高値を更新している。より多くの機関投資家がビットコインをポートフォリオに組み入れ、供給がさらに引き締まるにつれて、この傾向は加速すると我々は考えている。この「上げ潮」は暗号資産市場を広く上昇させるはずだ。 第二に、2024年1月のビットコインETFのローンチは極めて重要な進展だ。これらのETFは、投資家が既存の個人投資家向けの証券口座を通じて取引できるようにするもので、ファイナンシャルアドバイザーを通じてより広く利用できるようになった。 メリルリンチ、モルガン・スタンレー、LPLのような企業は、自らのプラットフォーム上での利用可能性についてデューデリジェンスを行っている。だが、これらのプラットフォームで承認されることは避けられないと思われ、ビットコインへのアクセシビリティが向上し、投資プロセスが簡素化されるため、需要が大幅に高まる可能性が高い。 第三に、世界の暗号資産市場における規制の進展は、ビットコインの価格ダイナミクスに大きな影響を与えるだろう。暗号資産の規制フレームワークを確立する米国の法案可決の可能性と、EUのMiCA規制は極めて重要だ。 これらは、JPモルガンのジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)CEOが言うように、ビットコインや暗号資産が単なる「ペット・ロック(石をペットに見立てた玩具)」であるという概念を払拭し、技術的な有用性を持つ価値の保存手段であることを認める助けとなるだろう。 このような認識の転換により、ビットコインと暗号資産は投機的な商品から戦略的な投資へと変貌を遂げ、質への逃避のための投資となる可能性もある。 市場ダイナミクス、投資家センチメント、技術進歩、マクロ経済イベントが複雑に絡み合ってビットコイン価格を左右していることを忘れてはならない。私はビットコインと暗号資産に強気であり、半減期後の市場の動向を注意深く見守るつもりだ。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Shutterstock|原文:Halving Impact and Macro Shifts Create Tailwinds for Bitcoin
CoinDesk Japan 編集部