日本の城は岐阜城から始まった? 大河ドラマ『麒麟がくる』で沸く岐阜が歴史のまちとしてアツいわけ
ドラマもまちおこしも「本質」あってこそ
歴史遺産を観光利用する上で重要なのは、文化庁との調整作業だが、この点で柴橋市長は歴史的価値の「基本」がわかっているだけに、スムーズに進んでいる模様だ。前市長の時代には客を呼ぶための巨大な御殿建物の計画もあったようだが、それがバカげたことなのは、現市長はよくわかっているため、もちろん今、そんな計画はなくなっている。 柴田氏は「前市長には提案を出し、何度も話をしたが、右から左。柴橋市長になったからここまでできているし、これからも進められると期待している」と語った。 歴史遺産の整備には時間がかかる。10年スパンの整備計画をどう作るか、どう実行するかは、首長の手腕が試されるところだ。例えばすでに築63年となる山頂の模擬天守は今後、建て替えでなく耐震対策がなされるという。このコンクリート天守のかたちが信長時代のものではないことを了解した上で、シンボルとして残し、本質的な価値のある石垣の調査・整備を進めて景観整備をし、観光利用しようとしている。 お隣の名古屋市では、名古屋城天守の木造復元計画が行き詰まってしまっているが、これは文化庁の許可が得られないためだ。歴史遺産の整備は、夢とロマンを追うだけでなく、本質的な価値を正しく認識することが重要。それが歴史遺産を使った町おこしをする首長に求められるところだろう。 (水野誠志朗/nameken)