日本の城は岐阜城から始まった? 大河ドラマ『麒麟がくる』で沸く岐阜が歴史のまちとしてアツいわけ
「歴史好き市長」の就任で調査が前進
この日は特別ゲストとして岐阜市の柴橋正直市長(40)が参加し、柴田氏と二人で話を進めた。岐阜といえば保守王国だが、2018年2月に自公が押す候補を破って市長となった柴橋氏は、実は岐阜お城研究会発足のころからのメンバーで、大阪大学で日本史学を専攻していたという歴史好きである。 柴橋市長が当選したのはちょうど、岐阜市教育委員会による約10年にわたる岐阜城山麓の発掘調査が終わった頃だった。次はどうするかという段階で山頂石垣の調査を進めるように指示したのが柴橋新市長だ。これには岐阜お城研究会で地道に研究されてきた「江戸時代に描かれた石垣図」があったことが大きい。今は埋もれてしまった石垣がその図にあることを柴田氏らは独自調査してきたが、それを知る柴橋市長がゴーサインを出し学術的発掘作業が進んだ結果、大発見が生まれた。 柴橋市政は政策の重点分野4番目に「本物志向の観光まちづくり」を掲げ、岐阜城一帯を有効利用した町おこしをするため、保存と活用の両立に取り組んでいる。信長当時の石垣には本質的な歴史的価値があるが、これを調査・保存しながら観光としてどう利用するか、そのためにどう整備するかが自治体としての課題だ。岐阜城一帯は国の史跡に指定されており、手を加えるには文化庁の許可がいる。しかし現在、国有林は伐採が進み、山頂のコンクリート天守と価値ある石垣がよく「映える」ようになった。木を切ったことで、数年前と比べれば観光的な魅力は数段向上している。文化庁とのコミュニケーションを深めて事業を進めた結果だという。 「国民の財産ですので、見て歴史に対する理解を深めたり、地域の歴史資産に対する誇りを持たせるといった目的であれば、今は活用することに対して、ずいぶんと文化庁の理解は広がっています。以前から岐阜お城研究会では『木を切るといい』と言ってきましたが、今回、保存と活用ということで大胆に切ることができた。これは実は奇跡的なことです」と柴橋市長は胸を張った。