ガザ地区で“地上作戦”拡大 「毎日サイレン」「どこにいても一緒」避難先から戻るイスラエル住民も…
日テレNEWS NNN
パレスチナ自治区ガザ地区ではイスラエル軍が地上部隊を投入し作戦を拡大しています。一方、イスラエルでは長期化する避難生活に疲れ、被害を受けた故郷へ戻ることを決めた家族もいます。 ◇ イスラエル軍は日本時間30日、ガザ地区内部での軍事作戦の映像を公開しました。戦車が発砲し、軍事車両の列の先には、標的でしょうか、何かが燃えていました。建物の内部でも、銃を水平に構えるなど警戒する兵士の姿がありました。 地上部隊を投入し作戦を拡大させているイスラエル軍。アメリカのCNNは、イスラエル軍がガザ地区内に3キロほど進軍した可能性があると報じています。 イスラエル ネタニヤフ首相(28日) 「(地上作戦は)戦争の第2段階である」 イスラエルは、地上部隊の投入に加えて、空からも激しい攻撃を続けています。 パレスチナ側は、ガザ地区での死者は8005人にのぼっているとしています。 被害は病院の近くでもでています。パレスチナ赤新月社によると、ガザ地区北部にあるアルクッズ病院の近くで空爆があり、現地からの映像では、病院内にも煙のようなものがたちこめていました。 赤新月社は、イスラエルが今後空爆を行うとして、病院から直ちに退避するよう警告してきたとしています。 病院では避難してきた住民が床や敷地の外で寝泊まりしている状況です。 パレスチナ赤新月社・担当者 「退避はできません。400人以上が入院していて、その多くは集中治療が必要です。彼らを退避させることは死を意味します」 長引く封鎖により物資の不足も深刻化しています。ガザ地区にある国連機関の倉庫では略奪が発生し、ロイター通信によると、数千人が支援物資である生活必需品を持ち去ったということです。 ◇ 一方で、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスも、ロケット弾による攻撃を続けています。イスラエルの最大都市・テルアビブでも、空襲警報が鳴るなど緊迫した状態が続いています。 こうした中、ガザ地区境界からわずか10キロほどの場所にあるイスラエルの街・アシュケロンでは、避難先から戻ってきた住民もいました。 避難先から戻ったイスラエル住民 カルピンさん(39) 「壁が黒くなっているのが分かるでしょう。その下の壁はミサイルで穴が開いていますよ」 カルピンさんは10月7日のハマスによる大規模攻撃の際、住んでいるマンションが攻撃を受け、家族4人でホテルを転々としながら避難を続けていました。 しかし、避難生活に疲れ、住み慣れたアシュケロンに戻ることを決めたといます。 避難先から戻ったイスラエル住民 カルピンさん(39) 「毎日のようにサイレンは鳴るし、それがどこでいつなのか分かりません。状況はどこにいても全く一緒です」 娘・カリンさん(9) 「サイレンにも慣れました。この町で生まれたので、ずっと残りたいです」 ハマスの大規模攻撃から3週間あまりたっても続く双方の衝突。イスラエルの作戦拡大により、事態の収束はますます遠のいています。