熱狂的なブースターが織り成すプレミア感(ベルテックス静岡)
「オレンジ一色のアリーナを見て、あらためて静岡のバスケの盛り上がりを実感」増田啓介
アンガス・ブラントとサイモン拓海(ともに元・信州ブレイブウォリアーズ)、そして川崎ブレイブサンダースから増田啓介らB1経験者が新加入。過去2シーズンは二桁得点のなかった増田だが、地元静岡では毎節いずれかの試合で10点以上を記録している。鹿児島との初戦は5人が二桁得点を挙げ、「どのポジションの選手もそれぞれのストロングポイントがあり、今日は一人ひとりの良いところが出たと思います」という増田も12点と活躍。「川崎ではウイングの外国籍選手とマッチアップすることが多く、体を張ってディフェンスすることを学ばせてもらいました。川崎はディフェンスのチームであり、森ヘッドコーチもA東京時代からディフェンスを重要視しています。静岡でもディフェンスで貢献はできているかなと思います」と5年間のB1経験を発揮する。昨シーズンまでは対戦相手として見てきた増田に対し、森ヘッドコーチは「すごく賢いプレーヤーであり、読み合いの中でも彼の長所であるリバウンドなどを生かせるシステムである。自分で穴を見つけて得点につなげられる選手になって欲しい」とさらなるポテンシャルを引き出している。 地元でのホームゲームデビューを終えた増田は、「今までも同じく静岡でプレーすることについて質問をもらいましたが、正直あまり実感がわいていなかったです。でも今日、実際にホームゲームがはじまるときにオレンジ一色のアリーナを見て、あらためて静岡のバスケの盛り上がりを実感しました。ここでプレーできることが幸せです」と笑顔を見せた。 今節が行われる前、Bプレミア参入チームが発表された。その土俵にも上がることがない静岡のようなチームにはどう見えていたのだろうか。「まずは新B1(Bプレミアの下部リーグ)を目指すことになると思いますが、それ以上に中学生がBリーガーを目指したいと思ってもらえるような存在になりたい。そのために、もっと静岡にバスケを根ざしていくことがすごく大事になります。それによってアリーナの建設や今後のBプレミアにつながっていくと思っています」と岡田は明確な答えを持っていた。規模感こそB1とは異なるが、オレンジ色に染まった満員のホームゲームはプレミア感を味わえ、地元を背負って戦う選手たちは誰もがスターである。「特にベルテックスのブースターさんは熱狂的かな」と岡田にとっても、ともに戦う同志たちが心強い。 現時点でもB1とB2、そしてB3リーグとカテゴリーこそ力量によって分かれているが55チームが全国に点在し、それぞれが趣向を凝らしながらホーム地域を盛り立てている。岡田は現状を受け止めつつ、「昇格できる最後のシーズンであり、来シーズンはB1で戦うことがまず1つのモチベーションになっていますし、ブースターさんも同じ想いです」と今後もコート内外で全力を尽くしていく。
泉誠一