久保建英の“ドリブル力”はスペイン屈指 ビッグクラブ移籍へのラストピース「もう少し」【現地発コラム】
本調子ではなかった日本人レフティー「ジローナにとって幸運だった」
カタルーニャ州のラジオ局「RAC1」のミケル・アグット・リエラ記者に試合後、この日の久保のパフォーマンスについて伺うと、本来の姿とは違うと感じていたようだ。 「久保がピッチに入った時、ラ・レアルは快適にプレーしていたが、ジローナが終盤、同点ゴールを目指して最後の力を振り絞り、ペナルティーエリアに近づこうとより積極的にプレスをかけてきたので、思うようなプレーをやらせてもらえなかった」 「普段は非常に爆発力があり俊敏な選手だが、代表戦の疲れがあってかリズムを欠いていたように見えたし、出場時間が30分程度と短かったことも影響しただろう。今日はそれほど切れがなく、スペースを上手く生かせていなかった」 また、ミケル・アグット記者は「久保が本調子ではなかったことは、ジローナにとって幸運だった」ともコメント。もし久保が本来のパフォーマンスを発揮していた場合、ジローナはより苦しめられたと考えていた。 さらに久保について伺うと、10年以上前からその存在を認識していたようだ。「私の中で彼は、バルサのカンテラ時代からマジョルカ時代、そして今のラ・レアルに至るまで、ずっと“素晴らしいサッカー選手”のままだ。高いクオリティーを備え、違いを生み出せる魅力的な選手だよ」と高評価した。 続けて、「先日見たデータで、久保は確かラ・リーガで5番目に多くドリブルを仕掛け、成功率が4番目に高い選手だったと記憶している。ラ・レアルも非常に優秀なクラブだけど、パフォーマンスをもう少し安定できれば、より優れたクラブでプレーできるレベルにあると私は思っている」とビッグクラブ移籍の可能性を示唆した。 ソシエダはジローナ戦を皮切りに、来月のインターナショナルブレイクまでの23日間で7試合、3日に1試合という過密日程に臨んでいる。今季再び欧州カップ戦の出場権を手に入れるためにも、まずはこの勝利をきっかけに今季初の連勝を成し遂げることが重要だ。そのためには久保の貢献が必要不可欠となる。 チームは次戦、ベオグラードで24日にマッカビ・テルアビブと対戦し、27日のラ・リーガ第11節でオサスナをホームに迎える。久保が再びチームを勝利に導くようなパフォーマンスを発揮できることを期待したい。 [著者プロフィール] 高橋智行(たかはし・ともゆき)/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。
高橋智行 / Tomoyuki Takahashi