“もったいない”と言われても、進みたい道がある。現役最後のホーム戦で2ゴールを挙げた浦安・大島旺洋の揺るぎない指導者への思い。【Fリーグ|インタビュー】
今シーズン限りでの引退を発表したバルドラール浦安の大島旺洋が、現役最後のホームゲームで魅せた。 序盤から積極的にチャンスを作ると、14分には左サイドからのクロスに落ち着いて合わせて先制点。今季2得点目となるゴールで会場を沸かせた。第2ピリオドではドリブル突破からのクロスで、田中晃輝の得点をお膳立て。最後はパワープレーを行使する相手に対し、残り1分でダメ押しの追加点を決め、2得点と1アシストで圧倒的な存在感を見せつけた。 セレクションの時から成長を見てきた小宮山友祐監督が、“特別”であり“逸材”だと評価するほどの選手である大島。今年1月にはU-23の代表に選出され、これからの活躍に期待が高まっていた。このタイミングでの引退表明には、きっと多くの人が「もったいない」という思いを抱いたのではないだろうか。 それでも、浦安に加入した当初から「5年間」と決めていた大島の表情に悔いはなく、次なる夢に踏み出した決断は、決して「もったいない」ものではない。 最後まで軽やかにピッチを駆け抜け、バルドラール浦安アリーナを後にした大島の思いに迫った。 取材・文=伊藤千梅
不安に打ち勝って決めた2ゴール
──ホーム戦ラストの試合を振り返って。 まずは平日開催にも関わらず、たくさんのファンサポーターの方が来てくれたことを素直にうれしく思いながらプレーしていました。 ホーム最終戦であり、(自身の)ラストホームゲームというのもあって、普段はあまり緊張しないんですけど、さすがにいつもと違う雰囲気で不安な気持ちも多少ありました。それでも試合にはうまく入れた印象があります。立ち上がりから浦安のペースになったり、先制点もうまく取れたりと、振り返ると1試合通して内容も結果も良かったと思います。 ──緊張しているようには見えませんでしたが? 緊張よりも、不安の方が大きかったです。 (教え子である)子どもたちとか、自分に関わってくれてる人たち方たちがたくさん来ていたので、変なミスもできないですし。最後なのでしっかりと勝利も届けたいと思えば思うほど不安になっていました。 ──その不安に負けることなく2得点を決める活躍をみせました。得点シーンを振り返って。 1点目は拓海くん(長坂)がうまく裏に抜けてくれて、この形はいつもやっているので「絶対パスがくる」と思いました。拓海くんのところもディエンスとギリギリ競り合っていたんですけど、先にボールに触ってくれるのは感じたので、自分はシュートを決める準備をしていました。思った通りに来たので、あとは決めるだけでしたね。 2点目は、相手がパワープレーする時間が長く、まずはシュートを打たれず失点0にしながら時間を進めていました。そこで相手がリスタートを始めようとしたところにうまくボールが自分のところに転がってきて、迷わず振り抜けたのがゴールという結果につながったと思います。(シュートを打つ時に)タケ(本石猛裕)が「アキ、打て」と声をかけてくれたので、躊躇せずに打つことができました。 ──日本代表の選手と一緒にファーストセットで出場していましたが、その時の気持ちや、どのようにプレーしようと思っていましたかを教えてください。 自分は誰と一緒に出たいとか、誰と出たらやりやすい、やりづらいというのは、そんなに思っていなくて。どの選手とプレーしても自分の強みや、逆に一緒に出てる選手たちの強みを出せるように意識してきたつもりです。その気持ちで5年間やってきたのが、最後に出たのかなと思います。