『昼顔』でブレイクの実力派女優・伊藤歩、テレビドラマ露出が増えたワケ
『スワロウテイル』や『リリイ・シュシュのすべて』など映画女優として20年以上のキャリアを持つ女優・伊藤歩。最新作『関ヶ原』でも役所広司扮する徳川家康の間者・蛇白/阿茶として、戦国の世を暗躍する忍びを好演している。もともと映画関係者の間では高い評価を受けていた伊藤だが、近年では「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」の北野乃里子役など、テレビドラマでも存在感を示し、お茶の間の知名度を上げた。映画女優がテレビドラマに頻繁に出演するようになった理由にはあるきっかけがあったという。
『スワロウテイル』や『リリイ・シュシュのすべて』で活躍
伊藤といえば、前述の『スワロウテイル』などの岩井俊二監督作品をはじめ、大林宣彦監督、今村昌平監督、新藤兼人監督など数多くの名監督の作品に出演している実力派映画女優で、出演作は枚挙にいとまがない。 長くコンスタントに活躍している印象だが「私は1990年代からお仕事をさせていただいているのですが、ちょうどフィルムからデジタルに移行していく時期だったんですね。私がデビューした頃は、1本の映画を撮るのに3~4カ月はかかっていたのですが、2000年ぐらいからデジタルが主流になっていき、大作でも1カ月半ぐらいで撮れてしまうようになっていきました。役者もそのスピードに順応していかなければならないのですが、ついていけないなと感じる時期がありましたね」と当時を振り返る。 実際、90年代終わりに高校を卒業後、海外に留学するなど、20代前半は仕事の量を減らしていたという。それでも女優を続けた理由を「嫌いにならなかったからだと思います」と語った伊藤。そして現在は「一生の仕事」と思えるようになったという。 「映画をずっとやってきて、あまりテレビドラマには出たことがなかったんですが、昔から祖父や祖母からは『ドラマに出てほしい』と言われていたんです。岩手に住んでいて、家の近くに映画館がなかったので、そう思っていたのかもしれません。それでも20代の頃は映画の現場が大好きだったので、映画の仕事ばかり受けていました。もちろんテレビドラマも……という気持ちはあったのですが、映画に入っていると、撮影のリズムがなかなか合わなくて、少し消極的になっている部分はありました」