「あなたはオンリーワンです」 大月みやこが60年の歌手生活で嬉しかった有名人からの手紙
紅白、レコ大は「経験」
「女の港」のヒットで、86年にNHK紅白歌合戦に初出場を果たす。以後、出場は10回を数えた。 一方、92年に発売した「白い海峡」は、奈美悦子主演のドラマ「許されぬ唄」の主題歌としてヒット。同年の日本レコード大賞で「歌謡曲・演歌部門」の大賞を受賞した(「ポップス・ロック部門」の大賞は米米CLUB「君がいるだけで」)。 「これは経験です。経験できたことで、その空気を感じられ、栄養や知識を得た。それが果たせなかった人生と対比すれば、違いがあったかもしれないけれど、紅白やレコ大を目指していたわけではないから」 あっさりと語る。ただ87年に「女の駅」で受賞したレコ大の最優秀歌唱賞については「歌唱を評価してもらえたので。いただけてありがたかった」と笑顔を見せる。あくまでも歌に邁進してきたことへの自負がそこにはあった。
間違ってなかった
今年6月20日でデビューから満60年を迎え、「歌い手としての生き方が間違ってなかった」との思いを強くしている。 「スターを目指すことも全くなかったし、ステージの上で、今、私の表現するものを聴いてもらって、拍手をもらえればそれでいい」という理由だ。 60年を振り返る中で、嬉しかった出来事の一つが、音楽評論家の湯川れい子さんからの手紙。 「デビューの頃に聴いていてくれて、『この子、ちょっと行けるわよ』と周りの方々におっしゃっていたそうです。それが5年経っても10年経っても売れない。自信を無くしていた頃に『女の駅』で最優秀歌唱賞を獲って、やっぱり来た、と。分厚い封筒の手紙をいただきました」と相好を崩す。そこには「あなたはオンリーワンです」との言葉も添えられていた。 「どこかで誰かが私の歌をきっと聴いていてくれる」との思いを忘れず、「1回も歌をおろそかにしてはいけない。一日一日を一生懸命にやらなくては」と自身を戒める。 そんな大月の最新曲は3月に発売された「恋人のように…」。今はこの曲を「皆さんに届けたい」と活動を続ける。 9月25日には大阪・新歌舞伎座での「歌手生活60周年記念コンサート」も待つ。「新しい曲も入れ、今の大月みやこが充実しているところを皆さんにお見せしたい」。60周年を迎え、まだまだ新たな姿で楽しませてくれそうだ。 デイリー新潮編集部
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