沼り続けて20年! 愛すべき“古着バカ”俳優・矢本悠馬的、古着&メイド・イン・USAの向き合い方──特集:2024年秋冬、新しいアメリカン・ファッション
昨今のブームから、雨後の筍のように古着好きを自称する人が増えた。もちろんそれは悪いことではない。俳優の矢本悠馬さんは、そういった人たちとは一線を画す古着ラバーであり、メイド・イン・USA信者なのだ。あらゆるアメリカ製に触れて気づいたのは、ブームとは無縁のアメリカ愛だった。 【写真の記事を読む】古着ラバー・矢本悠馬のお気に入りのアイテムは?
ちがった意味での特別感に浸る
とにかく古着全般が大好きであるという矢本さん。アメカジにハマるきっかけになったのは、小学から中学生の頃にかけて、父親の影響から愛聴していたロックバンド、ニルバーナ。 「特にヴォーカルだったカート・コバーンのファッションですね。当時は古着屋さんでビッグマックやファイブブラザーズ、シアーズといったブランドのネルシャツを買い漁っていました。その辺はいまだに大好きで、去年はシアーズやウールリッチのチェックネル、今夏はクイックシルバーやオーシャンパシフィックなどサーフ系のものを買い漁っていました」 マニアックなブランドがぽんぽんと出てくるところからも、かなりの古着ツウであることがうかがい知れる。数百万円のデニムが飛ぶように売れるなど、昨今の古着業界はヴィンテージ全盛。そんな流れを横目に、矢本さんは自身のアメカジ古着をマイペースに楽しんでいる。 「惹かれるのはブルーオーシャンといいますか、まだ誰も手をつけていないジャンルやブランドの変なアイテム。年代的には80~90年代のものが多いですね。もちろん、ヴィテージの王道であるリーバス501XXやビッグ「E」なども所有していますし大好きですが、それよりもブランド名すらよくわからない、安価なデニムに惹かれます。着ていて「それなに?」とか「どこのブランド?」って聞かれるくらいの古着が好きで。なんかちがった意味での特別感があるじゃないですか(笑)」 デニムやネルシャツ、ミリタリーウェアやアウトドアものなど、年代を問わずジャンルごとにきっちり沼り、現在までに古着屋にある大抵の商品には袖を通してきた。だがその中でも昔からスポーツ系のアイテムや着こなしが大好きで、特にナイキには目がないそう。 「ナイキは昔から大好き、最近は80~90年代のアイテムを漁っています。“風車”や”カマボコ”といった通称がつくような人気アイテムが存在するほど、ナイキのアイテムは競争率が高いですが、先ほども話したように僕が狙っているのは”穴”といいますか、安価なもの。あくまで自分の好みのものを見つけることが古着の楽しみ方なので、ここでもマイペースでやらせてもらっています。最近も高円寺や下北沢の古着屋さんを巡ってかなり買っちゃいました。どれもマニアが手を出さない数千円で買えるものですが、僕にとってはお宝です」 最後に、独自の感覚で古着やアメリカ製のアイテムに向き合う矢本さんが思う、メイド・イン・USAの魅力について語ってもらった。 「服に関してはデザインや機能性など、この世に存在する日常着の原点になっている部分があるじゃないですか。そこにグッときちゃいますね。あとアメリカ製のアイテムって世界中に輸出されるものだから、基本的に大量生産じゃないですか。そのせいか、同じモデルなのにデザインやカラーに個体差があったりして、良い意味で雑といいますか、そういう部分にもすごく惹かれます」 矢本悠馬 10月6日22:00より放送の WOWOW『連続ドラマW ゴールデンカムイ ー北海道刺青囚人争奪編ー』に、白石由竹役にて出演。また10月11日公開『室井慎次 敗れざる者』、翌月15日公開の映画『室井慎次 生き続ける者』に出演。
写真・江森康之 文・オオサワ系 編集・高杉賢太郎 @ GQ