プーチン大統領が訪中へ-米から圧力も中ロ関係の重要性浮き彫りに
カーネギー・ロシア・ユーラシア・センターのディレクターで、中ロ関係を専門とするアレクサンドル・ガブエフ氏は、ロシアと中国の銀行取引は全般的に障害に直面していると言い、「米国の政策による影響はすでに表れている」と話す。
中ロ首脳と両国の高官はロシアとの取引を処理するため、米国の金融システムへのエクスポージャーを持たない小規模な銀行を指定するなどの対応策を模索する可能性があるとガブエフ氏は明かす。
一定の困難
中国の張漢暉・駐ロシア大使は先週、ロシア国営テレビとのインタビューで、米制裁で中ロ間の貿易に「一定の困難」が生じていると発言。「双方は積極的に協議を進め、できるだけ早く効果的な解決策を見いだせるよう取り組んでいる」と述べた。
プーチン大統領も新華社通信との15日配信の書面インタビューで、中国との経済関係に自信を示した。
ロシア産の石油・ガス販売やエレクトロニクス製品、産業機器、自動車の購入がけん引役となり、ロシアの対中貿易は23年に2400億ドルと過去最大を更新。20年の1080億ドルの2倍余りに達した。
経済的な結び付きが強まっているにもかかわらず、中国の税関データでは、対ロシア輸出が4月に前年同月比13%減と、2カ月連続の前年割れとなった。ロシアメディアは、中国の銀行が3月下旬から電子機器組み立て用の部品を購入するロシア国内の企業からの支払いを停止し始めたと報じた。
中国人民大学の王義桅教授(国際関係学)は「両国の国家元首が新たな任期に入ってから初の外遊で互いを訪問するのは伝統となっている」とし、相互信頼の表れだと分析する。
だが、中国はロシアの戦争機関と結び付いているとは解釈されたくないと王教授は指摘。「習主席による最近の外遊が示すように、中国はロシアだけでなく、欧州諸国も含めたパートナーと共に、多極化した世界を築きたいと考えている」と語る。習氏は先週、フランスとセルビア、ハンガリーを歴訪し、中国を信頼できるパートナーとして印象付けようとしていた。