阪神・西岡、涙のサヨナラ打の裏に打法変更の工夫
キャンプから金本監督は、西岡のことを「サボり大魔王」といじり続けた。冗談半分、本気半分で、性格にムラがあり、キャンプの期間に練習量が落ちるケースのある西岡をうまく乗せながら操縦していた。和田前監督は腫れ物に触るように西岡に接してきたが、金本監督は、西岡の存在感を認めた上で、あえて特別扱いをやめ、いじった。いじること自体、特別視することかもしれないが、その操縦法が、ここ2年、予期せぬアクシデントにも見舞われ故障続きだった西岡にはまった。 試合後、西岡は、金本監督にいじられ続けてきたことを「(監督に)監視をされていますからね。でも、監督がいじることでファンもいじるので、ちょっとやめてほしいと思います(笑)」とジョークでまとめると、こう続けた。 「キャンプからサボり大魔王と言い続けられてきた。いつかこういう日が来て、“西岡がやってくれた”と、言われるように活躍したいなと思って日々やっています」 ――気が早いですが、タイガースが首位になりました。 「始まったばかり。関西はマスコミを含めて、早とちりになりますので謙虚な気持ちでね。僕の口から謙虚という言葉は似合わないですが、謙虚にいきましょう」 タイガースイエローに染まったスタンドが大爆笑に包まれた。 金本監督は興奮しながら「絵に描いたようなドラマみたいな試合だった」と言った。 『勝っている間は動くな!』が球界の定説だが、48歳の新監督は、「調子のいい間に使いたかった」と、 躊躇なく2番の横田をスタメンから外して、2打席連続で代打アーチを記録していた江越を今季初スタメンで、しかも2番に据えた。その江越が初回に3打席連続のアーチ。金本采配も乗りに乗っている。 今日9日は、広島戦。金本監督の元チームメイトである、あの黒田が先発してくる。 「巨人を完封した。ベテランらしく、コーナーを突き、インサイドワークで攻めてくる。こういういいピッチャーを崩さないと先が見えない。黒田を崩して、打線としての自信をつけてもらいたい」。金本監督は、そう対黒田へ意欲を燃やす。 男気vs超変革。その第一幕には、どんなドラマが待っているのだろうか。