5期目プーチン政権の新人事を読み解く…そのカギは軍産複合体強化にあり!
新政権、始動
ウラジーミル・プーチンは5月7日に5度目の大統領就任を行った。同日、政府は総辞職した。 5月9日夜から10日にかけて、プーチン大統領はミハイル・ミシュスチンを首相に指名し、再任するよう下院に提案した。ミシュスチンは10日、新政権の構想として、経済発展、「技術主権」の確保、デジタル変革、国民の所得向上、地域の均衡ある発展などを下院議員に提示し、承認され、同日、任命に関する大統領令が発布された。 北朝鮮が「地雷」を埋めた韓国へと続く道路…かつて私が撮影して事件に 5月11日、プーチン大統領は新体制を承認した。この新体制はマイナーチェンジを除けば変わらず、10人の副首相(当局は副首相と産業貿易省長官のポストを統合することだけを拒否した)と21人の閣僚からなる。同日、ミシュスチン首相は、この新体制を構成する候補者リストを下院に提示。これとは別に、12日夜、プーチン大統領は上院に、国家元首に直属し、憲法に従って上院議員との協議を経て任命される閣僚と機関の長の指名案を提出した。こうして、プーチン新政権の顔ぶれがようやくわかってきた。
国防相の更迭
プーチンは、国防省で12年間指揮を執ったセルゲイ・ショイグ(下の写真)を、ニコライ・パトルシェフの後任として、安全保障会議書記に任命することを提案した。前政権で第一副首相を務めた経済学者のアンドレイ・ベロウソフ(写真)が国防相候補として提示された。パトルシェフは別の担当に異動する。 国防相の更迭および経済学者の登用という人事異動をどう理解すればいいのだろうか。プーチンのこれまでの国防相人事をみればわかりやすくなる。プーチンによって任命された最初の大臣は、プーチンと大学の同窓で、同じソ連国家保安委員会(KGB)出身のセルゲイ・イワノフ(2001年から2007年まで軍を率いた)だ。(ドミトリー・メドベージェフ大統領の下で)アナトーリー・セルジュコフ元連邦税務庁長官が後任となり、プーチン大統領の下でも留任し、5年間務めた。土木技師出身で非常事態省の創設者であるセルゲイ・ショイグは、2012年にモスクワ州知事から国防省のトップに就任した。 これからわかるように、国防相といっても、そもそも生え抜きの軍人と呼べる人物はいない。セルジュコフに至っては、もともとは「家具屋の親父」にすぎない。こう考えると、経済学者のベロウソフが後任になっても、過去の例からみると、決しておかしな人事とはいえない。