山崎ハコ、デビュー50周年 「17歳の自分を裏切るまい」 記念アルバム「元気かい」発売
女性シンガー・ソングライターの草分けの一人、山崎ハコ(67)がデビュー50年目を迎えた。17歳で見いだされ、昭和50年10月にアルバム「飛・び・ま・す」で世に出た。波瀾万丈の50年だったが、「17歳の頃の自分を裏切らない」という思いで歌い続けている。 デビュー当時の人気ラジオ番組「パックインミュージック」(TBS系)の〝3人娘〟が荒井由実、石川セリ、そして山崎だった。 フォークギター1本で人間の情念を弾き語りで聴かせるスタイルは、中島みゆきの好敵手ともみられた。56年の映画「青春の門」の音楽を担当し、イメージソング「織江の唄」が大ヒット。暗く重い独特の個性を世間に刷り込んだが、暗い目をした少女というイメージは事務所が作り上げた虚像だった。 ■所属事務所が倒産 取材の場に現れた素顔の山崎は、明るい声で笑い続ける太陽のような女性だ。 デビューからすべてを任せていた所属事務所が平成10年に倒産するアクシデントに見舞われたこともあったが、これも明るい声で振り返る。 「あのときは住んでいた家を追い出され、行く当てもなかった」 冬だったので、さすがに野宿は避けたかった。数日は、終夜営業のファミリーレストランで夜露をしのぎ、その後は懇意にしていた俳優、原田芳雄や渡辺えりを訪ねて相談に乗ってもらった。 原田は「印税が入っているだろう。それでしばらくしのぐしかない」という。だが、山崎は「印税ってなんですか?」と聞き返した。事態を理解した原田。激怒した。「二十数年、1銭も自分に入っていなかったのか!」 「高校生で事務所に所属して、そういうことはまったく知りませんでしたからね」 この間、2カ月ほど中華料理店で皿洗いのバイトも経験したが、店内の有線放送から自分の歌が流れてきた。 「まだ歌いたいか否かと自分に問いました。やっぱり歌い続けたかった」 原田の事務所の関係者らが奔走し、仕事に復帰できた。 ■伴侶の死で喪失感