我々は壮大な「出来レース」を見せられている 「政治資金問題」をめぐる与野党の攻防について須田慎一郎が指摘
与野党ともに「企業・団体献金を全面禁止」、「連座制」に踏み込めない金銭的な事情から、激しい攻防をしているように「装っている」のが実情
須田)我々有権者が期待するのは再発防止策でしょう。私は2つのポイントがあると思います。1つは、この種の裏金をなくすために「企業・団体献金を全面禁止にする」ということです。そのような規定を政治資金規正法に盛り込むべきですが、そうなると困るのは与党だけではありません。野党も「人件費が出ない」というような部分があるわけです。連座制も、与野党にとっては少し厳しすぎる。そこへ踏み込んでしまうと、国民世論から「与野党は何をやっているのだ」という話になるので、前段として責任の所在を明確にし、責任を負わせるというところで激しく攻防しているように装っているのです。 飯田)本質のところには入って欲しくないのですね。 須田)与野党ともにそうです。その前段で争っている。
与党を攻めきれない野党のもう1つの理由
飯田)企業の不祥事で考えると、記者会見で突っ込まれるのは再発防止策です。「これで本当に再発防止ができるのか?」というところが問われます。 須田)下手に与野党で折り合いをつけてしまうと、「野党は甘いではないか」という話になるので、攻めているように装っている。また、野党としても全面的に「押せ押せ」の状態になれない事情がもう1つあります。野党が妨害や抵抗を行って3月1日に可決できなくなると、「野党は能登半島地震の復旧・復興を妨害した」とレッテルを貼られかねません。それが怖くて本気になれないのです。 飯田)来月の話のように思えますが、3月1日は今週の金曜ですよね。だから(政治倫理審査会が)28・29日なのですね。 須田)野党にとって、今週の前半は見せ場です。だから「政治倫理審査会を公開しろ」と求めている。「俺たちの花舞台を(国民に)見せろ」と。
再発防止策を決めるべき
飯田)いまは激しく攻防していますが、3月1日が終わったら静かになってしまうのでしょうか? 須田)おそらくそうだと思います。だから強く主張したいのは、「再発防止策をどうするのか」ということです。もう予算が成立するのだから、政治資金規正法も含めてきちんとルールを決めて欲しい。国民は怒っていると思います。 飯田)アイデアは出ますが、議員立法なり骨格のようなものはまだ出ていませんよね? 須田)政治的な意図があって言うわけではありませんが、立憲民主党・岡田幹事長のケースを見ると、政治資金パーティーで得たお金はほとんど秘書などの人件費に使われているのです。そこがシャットダウンされると、「どこで人件費を賄うのか」という問題が出てきます。別に悪いことをしているという意味ではありません。それが国会議員の実態です。政治資金パーティーは禁止になったとしても、違った形で企業・団体献金を受けざるを得ない状況になるのではないかと思います。