我々は壮大な「出来レース」を見せられている 「政治資金問題」をめぐる与野党の攻防について須田慎一郎が指摘
ジャーナリストの須田慎一郎が2月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2月28・29日に開催予定の衆議院政治倫理審査会について解説した。 【写真】「脱税は、犯罪。」の国税庁のポスターを前にして答弁する、岸田総理
衆議院政治倫理審査会、公開か非公開か協議継続へ
国会では自民党派閥の政治資金事件をめぐり、2月28・29日に開催が予定されている衆議院政治倫理審査会について、与野党で公開か非公開かの折り合いがついていない。岸田総理大臣は26日の衆議院予算委員会で、公開の是非については「国会で判断されるべきものだ」と述べた。
我々は壮大な与野党の「出来レース」を見せられている
飯田)政治倫理審査会については各紙が取り上げていますが、どうご覧になりますか? 須田)いま我々は、壮大な与野党の「出来レース」を見せられていると考えてもらっていいと思います。まず政治的なスケジュールを考えると、次年度予算案を年度内に成立させて4月1日からスムーズに執行するためには、スケジュールが迫っているのです。少なくとも3月1日までに衆議院で可決させなければ、年度内成立は難しい。3月1日までに成立させる意味として、本来は2日なのですが、2日は土曜日なので国会が開かれません。3月1日に成立させると、憲法上の規定によって30日経てば自然成立するのです。 飯田)予算が成立するのですね。 須田)そうすれば年度内成立の形を取ることができます。毎年大事なのですが、今年度予算がなぜ殊更に大事なのかと言うと、やはり能登半島地震が理由にあがります。復旧・復興をスムーズに進めるためには4月1日からの予算執行が必要です。それは与野党の国会議員もわかっている。従って野党は「予算案の成立」を人質に取る形で、いま政治倫理審査会の開催を求めているのです。
与野党の国対でお互いのやり取りを決めた「国対国会」
須田)今回の国会を、私は「国対国会」と呼んでいます。そもそも国会召集日から考えると、天皇陛下にお出ましを願い国会が召集されたわけですが、通常なら首相が所信表明演説を行って国会が開始されます。しかしそれをせず、つまり国会運営の方針も示さずに、いきなり衆参両院でお金の問題をめぐる集中審議が行われました。これを決めたのは与野党の国対です。野党である立憲民主党がこれを求め、与党の自民党が譲歩し、「その代わり予算審議に協力してくれ」という形で花を持たせたわけです。 飯田)野党側に花を持たせた。 須田)これがそもそもの始まりです。いま野党は「押せ押せ」になっているのですが、本来こういった政治上の大問題、大事件に関して決着をつける際は、第1段階として何が起こったのかを全容解明することが大切です。第2段階としては責任の所在を明確にし、責任を負わせる。そして、最終段階で再発防止策を講じるのです。政治倫理審査会は第2段階です。誰に責任があったのか、そのやり取りを通じて責任を負わせるという攻防をしているのです。