他人を尊重しすぎて、疲れている人へ 自分も相手も幸せになる考え方とは?
考えを率直に希望を伝えれば、案外うまくいく
それを避けるのはとても簡単です。自分の希望を素直に言えばいいのです。そうすることによってお互いの希望を尊重し合えるケースも多いのです。そうすれば、マイナスサムゲームは一転してお互いに得をするプラスサムゲーム(plus sum game)、win winの関係に変化します。 もし、どちらかが我慢しないといけない場合は、冷静に話し合えばいいのです。リンゴにするか柿にするかくらいなら、話し合うほどのこともなくジャンケンで決めればいいのですが、「わたしは一人でいたい」けれど、「彼女はデートしたい」というときには、明日どうするか冷静に話し合えばよいのです。確かに、ちょっと手間がかかるけれど、マイナスサムゲームを演じるよりはずっと賢い選択のはずです。 ただ、この賢い選択が、日本ではなかなか難しいかもしれません。率直に自分の意見を言わないこと、率直に相手の意向を尋ねないこと、お互いに相手の気持ちを推測しあう(去年の流行語を使えば「忖度」しあう)のが良しとされているからです。 率直さを避け、忖度しあうのを良しとする常識が、どれほどの誤解と無駄とストレスを生み出しているか、冷静に考えてみませんか? ただ、困ったこと、お互いの希望が食い違ったときに冷静に話し合いができない人がいます。怒り出したり、無理やり自分の希望を押し通したりして、相手に我慢を押しつけようとする人などです。相手がそんな人なら、これからもお付き合いを続けるかどうか冷静に考え直す方がいいかもしれません。もしも、あなたがそういう人ならば、態度を修正しましょう。相手を変えることは難しいのですが、自分なら変えることができます。その方がこれからの長い人生がスムーズになると思いますよ。 (心療内科医・松田ゆたか)