他人を尊重しすぎて、疲れている人へ 自分も相手も幸せになる考え方とは?
日々の悩みから心が軽くなる方法を考えてみたいと思います。 ゼロサムゲーム(zero sum game)という言葉があります。自分が100円得したら、相手が100円損する。自分がいい気分になれば、相手が嫌な気分になり、自分が我慢すれば、相手が幸せになる。合計(sum)は差し引きゼロ。そんな状況を指す言葉です。 それに対してわたしは、マイナスサムゲーム(minus sum game)という言葉を作りました。合計がゼロになるどころか、マイナスになる。自分が損して、相手が得するどころか相手も損する。自分が我慢することで相手が幸せになるどころか、相手も不幸になる。そんな状況を指す言葉です。そんな馬鹿なことがあるものかと思うかも知れませんが、メンタル系の仕事をしていると、そんな状況によく出くわします。
ゼロサムゲームも残念だけど、マイナスサムゲームはもっと残念
とても単純な例で説明してみましょう。 テーブルにリンゴと柿がのっています。わたしはリンゴが好きなのだけど、相手もきっとリンゴが好きだろうと思って、相手にリンゴを譲ってわたしは柿を取りました。でもほんとうは、相手は柿が好きだったのです! わたしが素直に自分の好きなものを取っていれば、相手も自分の好きな柿を食べられたのに。 もう少し複雑な例でも説明しましょう。 わたしは「明日は一人でゆっくり本を読んでいたい」と思っていますが、「彼女を放っておくのは悪い」と思って、デートに誘いました。彼女もじつは「明日は一人で好きなビデオを観ていたい」と思っていたのですが、「彼氏の誘いを断るのは悪い」と思ってデートに応じました。結局、二人ともしたくもないデートをするハメになってしまったのです。 こんな馬鹿なことを避けるには、わたしが彼女に「明日は一人でいたい」と素直に自分の欲求を話すか、彼女が「悪いけど、明日はビデオを観ていたいの」と率直に自分の気持ちを伝えればいいのです。お互いに遠慮しあって、自分も相手も不幸にしてしまうケースです。率直に語り合わないために人生を無駄にややこしくしているのです。 話を単純にするために2人だけのケースにしましたが、もちろんもっと大人数でも似たようなことは起こります。そして、「リンゴか柿か」とか、「デートをするかしないか」といった些細なことではなく、就職や結婚といった人生の一大事でも、こんなマイナスサムゲームを演じることがあります。メンタル系の相談を受けていると、人生の悩みの半分はこの種のマイナスサムゲームがからんでいるのではないかとさえ思えます。