中国でV2成功WBO王者木村翔が挑む最強挑戦者・田中と9月末試合期限の試練
だが、V2に浮かれている時間は、そうはない。 次戦は3階級制覇を狙う田中との指名試合になるが、WBOからは、その試合期限を9月末に切られているのだ。そうなると試合までのスパンは2か月を切ることになる。 有吉会長も「WBOのルールに従ってやるだけ」と言う。 その田中は、中国まで敵情視察に来ていた。控え室では記念撮影も行い言葉も交わした。 「また来てましたね。俺のこと大好きなんですね(笑)」 木村は、羽田空港に出迎え取材にきた報道陣を笑わせた後にマジトーク。 「僕も逃げるつもりはない。(田中は)1位だから、いずれやる相手。逃げも隠れもしない。試合間隔? 問題ない。やれと、言われれば、やります」 だが、中2か月もない短いスパンの試合強行で、思い浮かべるのは、元WBC世界フライ級王者、比嘉大吾(白井・具志堅S)の悲劇だ。比嘉は、今年2月4日に故郷の沖縄で防衛戦を行い1回KO勝利を収め、続けて4月15日にV3戦を入れたが、過酷な減量のある比嘉は、調整に失敗。計量オーバーでベルトを剥奪され、試合は強行されたが、もろに減量の影響が出て9回TKO負けを喫している。 木村は、今回6回で試合を終わらせたが、少し両目の上が腫れていた。 「ガードしたけど、右目も左目も腫れた。結構(パンチを)もらっていた。手が長いから後頭部を打たれた。パンチはあったしねえ」 ダメージはゼロではない。しかも比嘉よりも試合のスパンはさらに数日短い。 だが、木村は「僕は問題ない」と断言する。 「比嘉は(厳しい)減量があったでしょ。僕は普通に10日で(体重が)できちゃう。お寿司や、お肉。美味しいご飯を食べながら練習しようと考えているくらい。問題ないっす。あとは、どれだけ気持ちがついていくか。そこだけでしょう」 大晦日の五十嵐俊幸(帝拳)との初防衛戦を終えてから、酒屋の配達バイトも辞め、ボクシングに集中できる環境ができた。有吉会長も「これまでに比べて集中できるようになった」と、その成長を認めていた。 「しっかりとボクシングに集中すること。今回も誰とも遊ばずに練習ばっかりしたいね」 集中力さえあれば、短いスパンでの試合強行に問題はないと、木村は確信を持って言う。 「ほんと厳しいんですが、修行のつもりでタイでも合宿を張りたい」 今回は、急に試合が決まったことも手伝って、恒例のタイ合宿は行わなかったが、田中戦が決まれば、タイ合宿を再開したいというプランもある。