自転車「ながらスマホ」11月から厳罰化、違反で懲役や罰金刑…全国の死亡・重傷事故は前年比2・3倍に
自転車の運転中にスマートフォンを使う「ながらスマホ」。11月1日施行の改正道路交通法で厳罰化され、違反した場合は懲役や罰金が科される。自転車のながらスマホによる死亡・重傷事故は増えており、県警は「止まって画面を確認するなど、安全な運転を心がけてほしい」と注意を呼びかけている。(岡さくら) 【図表】自転車の運転を巡る改正道交法のポイント
神戸市灘区の水道筋商店街で25日、灘署員らが自転車に乗る買い物客らにチラシを配り、ながらスマホの厳罰化について説明していた。驚いた様子でうなずく人らが多く、同区内に住む40歳代の派遣会社員の女性は「家族にはスマホを触らず、運転に集中するように伝えたい」と話した。
改正道交法では、自転車を運転中、手にした携帯電話やスマホで通話したり、画面を見つめたりする行為を禁止し、違反すれば6か月以下の懲役または10万円以下の罰金とする罰則を設けた。事故を起こすなどした場合は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金とする。
スマホの普及は進んでおり、警察庁によると、自転車のながらスマホによる死亡・重傷事故は近年、増えている。今年上半期(1~6月)には全国で18件発生し、前年同期比約2・3倍となり、統計が残る2007年以降最多だった。
神戸市東灘区では今年4月、スマホを操作していた40歳代の女性の自転車が対向の自転車と接触。30歳代の女性が右腕を骨折する重傷を負った。東灘署によると、40歳代の女性はLINEの通知が届き、スマホの画面を注視していたという。
兵庫県伊丹市では19年、スマホを操作していた女子高校生の自転車に男性がはねられ、意識不明の重体になる重傷事故が発生。茨城県つくば市では18年、男子大学生が運転するマウンテンバイクにはねられ、男性が亡くなった。大学生は男性の親族に、スマホを見ながら運転していたと説明したという。
県警は、通学で自転車を使う高校生らに厳罰化をわかりやすく伝えようと、各地で啓発活動を進める。洲本署は県立洲本実業高校の生徒らとともに啓発動画を撮影し、ユーチューブで公開。丹波署などは、丹波市柏原町のJR柏原駅前で高校生らにチラシを配った。