爆風スランプ、26年ぶりツアーを完走 次なる夢は武道館「中高年パワーで俺たちを大きな玉ねぎの下に」
26年の長い休止期間から復帰した爆風スランプ
4人組ロックバンド・爆風スランプが17日、東京・LINE CUBE SHIBUYAで全国ツアー『爆風スランプ~IKIGAI~デビュー40周年日中友好 LIVE ”あなたの IKIGAI ナンデスカ?”』のファイナルを開催した。26年ぶりに4人が再集結し、超満員となる約2000人の観客の前で『Runner』『リゾ・ラバ』『大きな玉ねぎの下で』など代表曲のオンパレードで魅了した。 【写真】『爆風スランプ~IKIGAI~デビュー40周年日中友好 LIVE ”あなたの IKIGAI ナンデスカ?”』ライブショット 1984年にメジャーデビューした爆風スランプは、88年に『Runner』がヒットし『NHK紅白歌合戦』に出場するなど、一躍、人気に火がついた。デビュー15年目の99年から活動を休止していたが、40周年を機にサンプラザ中野くん(ボーカル)、パッパラー河合(ギター)、ファンキー末吉(ドラム)、バーべQ和佐田(ベース)の4人が意気投合。デビュー記念日の8月25日に26年ぶりの新曲『IKIGAI』をリリースし、全国ツアーを開催した。ファイナルとなったLINE CUBE SHIBUYA(旧渋谷公会堂)のステージには27年ぶりに立った。 開演時間になると、ファンキー末吉がプロデューサーとドラムを担当する中国の4人組ロックバンド・布衣(ブーイー)が登場。大きな拍手の中、硬派なロックなど3曲を披露しオープニングを飾った。 MCではメンバーが「末吉さんと20年前に知り合って、最初は10人くらいのお客さんだったバンドが今では中国で一番ツアーを回るバンドになりました。日本の皆さんありがとうございました」と話すと客席から大きな拍手が起きた。 ここで「最後に一番新しい楽曲を演奏します。きっとみなさんも知っていると思います」と話すと爆風スランプのヒット曲『リゾラバ』を演奏。ここで客席は総立ちとなり、声援を送ると、ステージに中野が登場し歌い始める。会場がどよめく中、続けて河合、和佐田もステージに登場。和佐田は、タイガーマスクのような黄色いマントを羽織り、マイクを持って歌いながら、客席に降りて観客とハイタッチ。粋なオープニングに会場のボルテージは最高潮に達した。 1曲目が終わると、河合がギターをかき鳴らし観客をあおる。ここで爆風スランプ定番のオープニングナンバー『えらいこっちゃ』へ。「ハロー渋谷! 26年ぶり~!」と中野があおると総立ちの観客も大合唱しながら体を揺らす。中野が歌いながらメンバーを紹介すると3人も超絶テクニックで応える。 続けてパワフル度が増した中野のボーカルが堪能できた『月光』、観客から自然に手拍子が鳴った『夕焼け物語』と代表曲を披露。 ここでメンバーが1人ずつあいさつ。 中野は「26年ぶりのライブツアー最終日です。燃え尽きま~す!」と宣言し、河合は「わたくし11月の初めにチョコザップに入りました。3日連続で行ったんですが年寄りの冷や水です。3日しか行ってないです」と昔と変わらないボケから入り、客席も大笑い。続けて「(ツアーをやってきて)まだまだできるなと思いました」と話すと拍手が起きた。 末吉も「根性! 根性!」と変わらないMCで喜ばせると、和佐田も「オープニングで少し出しゃばってしまい、すみませんでした」とボケをかますなど、26年前と変わらない4人が笑顔で観客を迎えた。 中野は「あの時の中高生が今は中高年に。今回のサブテーマは『中高年パワー』です」と言うと「中高年パワーで最後まで楽しく盛り上がっていこう!」と呼びかけた。 その後も彼らの代表曲のオンパレードが続き、『まっくろけ』では観客も大合唱。歌い終わった後、観客からの「懐かしい」という声が漏れた。 中盤に入ると河合が『スーパーラップX』を披露し、末吉、和佐田との3人の超絶テクニックの応酬で観客をくぎ付けにした。 各メンバーがそれぞれの地元を歌った『マイ・ラブ』シリーズでは、ステージ上でじゃんけんに勝った和佐田が地元の歌『マイ・ラブ京都』を歌った。 「ヘヴィメタルにモノ申す」という末吉の第一声で、おなじみのハードロックナンバー『たいやきやいた』を演奏。中野がたい焼きの被りもので登場し、激しいスモークの中で暴れた。続けて『ひどく暑かった日のラブソング』『よい~うわさになりたい』『涙2』と代表曲で畳みかけた。 ここで中野がマイクを持ち、観客の盛り上がりに満足した様子で「中高年パワーに、満ちあふれております」と感謝を述べると「最後にこの曲を聴いてくださ~い」と本編ラストの『Runner』へ。 ところが演奏を始める前に少し間を置き、少し声を詰まらせながら話を続けた。 「本当にいろんな思いがこもっている曲です。昨日の朝、(江川)ほーじんの夢を見て起きました」 1989年にバンドを脱退した初代ベーシストの江川さんは、2018年に交通事故に遭い、現在も治療に励んでいる。江川さんが脱退した時のことを中野が歌詞にした曲が『Runner』だ。 中野は話を続けた。 「(夢で)ほーじんが、どこかの俺たちの野外ライブに和佐田さんがいるのに、ベースを持って駆け上がってきてすごい元気に、前よりもハンサムになってベースを弾き散らかして盛り上がってました。本当に最高のベーシスト2人がいる素晴らしいバンドだと思います。いつの日かダブルベースでお届けすることができることを信じて歌います」 大きな拍手と共に『Runner』を歌った。 アンコールでは、河合が、いきなりペットボトルの水を一気飲みして気合を入れた後、思わず笑ってしまうシュールなナンバー『耳たぶ』『目ん玉』を披露し、全員で26年ぶりの新曲『IKIGAI』へ。 中野は「こんなにリハーサルでウキウキした気分はなかった」と今回のツアーがいかに楽しかったかを説明し、「26年の間に醸された、発酵したんですよ! みんなの気持ちも発酵したよな。だから(これからも)やる気でいます」と独特の言い回しでこれからも爆風スランプを続けていくことを約束した。 最後に日本テレビ系『進め!電波少年』(96年)の企画だった「猿岩石ユーラシア大陸横断ヒッチハイク」の応援歌として作った『旅人よ~The Longest Jorney』を披露。 「最近ラジオ番組に呼んでいただき、バナナマンさんに会いました。そしたら『俺たちは有吉(弘行)よりこの歌が好きです。バナナマンの応援歌にしてください』と言われました。受け取りました! 有吉くんの応援歌でもあり、バナナマンの応援歌でもあり、みなさんの応援歌でもあります!」 アンコールが終了し、メンバーがステージを下りたが、アンコールの手拍子は鳴りやまず、ダブルアンコールへ。バンドにとって思い出の曲『THE BLUE BUS BLUES』を歌った。 最後にあらためてこれからもバンドを続けていくことを宣言。 また、来年2月には爆風スランプの名曲から生まれたラブストーリー映画『大きな玉ねぎの下で』が公開されることを発表した。 中野は「本当に思わぬところから映画の話が持ち上がり、偶然に40周年と重なったんです。いつとは言えませんが、みなさんの中高年パワーで俺たちを大きな玉ねぎの下に…武道館に連れて行ってください」と呼びかけると観客も大きな拍手で答えた。 最後に名曲『大きな玉ねぎの下で』を力いっぱい歌い上げ、2時間30分に及ぶツアーファイナルは終了した。 26年の長い休止期間から完全復活した爆風スランプは、これからも「中高年パワー」で音楽シーンに元気を注入していく。