「ととのう」はずが…サウナ事故が近年倍増、消費者庁が警告 やけどや心臓発作は自己責任?
●「掃除が甘くて滑りやすいサウナで走って転んだ」→利用客の責任重い
――利用者と施設の責任の割合はどのように考えればよいでしょうか 施設側が対策を怠っていたとしても、利用者側も容易に事故の発生を回避できたという場合には、施設側の責任は軽減されます。対策を怠った程度や、利用者に求められる注意の程度など双方の事情を総合的に考慮することになります。 一例ですが、本来1日に1回掃除をすべきところ、2日に1回しか掃除していなかったために床が滑りやすかったという状況で、利用者がサウナ内で走って転んだという事案について、双方に責任が生じそうという点は一般的にも理解しやすいのではないでしょうか。 もう一歩踏み込んでいえば、サウナ内で走るのは通常の利用方法とは明らかにかけ離れているため、どちらかといえば利用者の責任が重いと判断される可能性が高いと思います。 このように、さまざまな要素を考慮して責任の有無や割合が決定されることになり、場合によっては施設側に損害賠償を求めることができるという結論になります。 ただし、裁判になれば時間や費用など多大なコストが生じるので、誰にとっても一番良いのは事故が発生しないことです。施設側はできる限り「よくある事故」が発生しないよう対策をとり、利用者側はサウナの利用方法を調べて、体調に合った利用を心掛けるのが最善だと思います。 【プロフィール】 小林 望海(こばやし・のぞみ)弁護士 慶應義塾大学法学部法律学科卒業。早稲田大学法科大学院修了。2018年の弁護士登録後は、都内法律事務所に所属。2024年4月東京スタートアップ法律事務所に入所。一般民事事件を中心に取り扱う。相手の目線に立った誠実な対応で、依頼者からの信頼が厚い。 事務所名:東京スタートアップ法律事務所